赤塚不二夫対談集『これでいいのだ。』   

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先日、以前やんちゃさんに教えてもらった千代田図書館に行ってみたら、図書館のイベントとして「靴磨き」をやっていた。“靴をみがいて自分も磨く”ということらしい。

◎イベントは終わってますが....
◎図書館「見直し」計画

わたしは、靴磨きはしてないんだけど、その周辺には「自分磨き」に関連する書籍が、表紙が見える形でディスプレイされていて、こちらは、そのとき目に入った本。

とにかく、今、思想レベルのものじゃないと....って思う気持ちが強いせいか、この赤と黄色の表紙に思わず惹き付けられてしまいました。

赤塚不二夫がいつからマンガを描かなくなったのかに興味があって、少し調べてみたけどよくわからなかった。でも『天才バカボン』は1967年が連載スタートで、1978年に一応完結しているらしい。

赤塚不二夫は、マンガではなく「赤塚イズム」で30年余りを生きてきたのだと思う。

1956年『嵐をこえて』で漫画家デビュー
1962年『おそ松くん』『ひみつのアッコちゃん』連載開始
1967年『天才バカボン』連載開始
1969年「ひみつのアッコちゃん」「もーれつア太郎」がテレビアニメ化。
1971年「天才バカボン」がよみうりテレビ系でテレビアニメ化。
1975年「元祖天才バカボン」がテレビアニメ化。
1988年「おそ松くん」「ひみつのアッコちゃん」がテレビアニメ化。
1990年「平成天才バカボン」「もーれつア太郎」がテレビアニメ化。
1998年「ひみつのアッコちゃん」が放送スタート。
1999年「レレレの天才バカボン」がテレビアニメ化。
2008年 肺炎のため逝去。享年72歳。


赤塚不二夫の代表的なマンガは、ほとんど「アニメ」になっている。マンガをあまり描かない、というか、天才マンガ家として苦悩の時代に、アニメからの莫大な収入があったことが、タモリを育てることになったんじゃないかと思う。

本書の中で、赤塚氏は何度かタモリにちょっぴり厳しいことを言っている。でも、タモリはタモリで、赤塚が自分を育てたことを重く考えていて、『いいとも』を棄てられないんじゃないかな。。で、そーゆーことは、タモリと同じ「獅子座」の中居くんに強く影響を与えていて....というような想像を、わたしは勝手にしていて、勝手に残念に思っていたりする。

本書の対談が企画されたのは1999年の春で、対談終了したのは2000年。生きている間に赤塚らしい対談本を作って欲しいという夫人の願いにより実現した、赤塚不二夫最後の対談集。

赤塚氏ともっとも関係の深いタモリとのエピソードは色々知られているけど、本書で語られていることを、タモリの口調以外で読むと笑えるというよりは「壮絶」としか言いようがなかったり、

柳美里はすごく緊張してるけど(そりゃそうだよね..)色々がんばっているという感じで、

立川談志(赤塚に立川不死身という落語家名を与えた家元)とは「がん経験者」としての話、若手の笑い、フレッド・アステアの『イースター・パレード』(談志はアステアが大好き)や映画の話、桂枝雀の鬱やもちろん落語の話も。。

赤塚氏が「志ん生の、蛙が立って歩くやつ。吉原行くやつ」って言ってるのは『蛙の遊び(蛙の女郎買い)』という噺。(私もこれが大好きで何度も聴いてる)

北野武は、映画の話が多くて、この当時大島渚の『御法度』に出演していて、赤塚氏はたけしが原作で以前の助監督が撮った『教祖誕生』が面白かったとか、たけしはウッディ・アレンの『カメレオン』が好きだとか....

ダニエル・カール氏には、開口一番「会いたかったんだよ。あなたにお会いしたかったの。昔からファンだったんだよ。4年前の『徹子の部屋』に出たときのビデオも持ってるんだよ.....で始まり、最後は「だけどこいつは外人なんだから、こんな奴と話しても仕様がないんだ。俺の娘がさぁ、イギリス野郎とな.....」で終わります。

荒木経惟は本書の表紙の写真も撮影。赤塚氏はアラーキーの妻陽子さんのことを凄いイイ女、本当に何でもわかってるイイ女だったと言ってますが.....酷いことしてますw

松本人志は『赤塚不二夫のマンガ入門』を見て漫画家を目指していた。松本の『VISUALBUMー安心ー』(コントビデオ)の「荒城の月」、『ごっつええ感じ』のトカゲのおっさんの話、松本が一生懸命にやらないと...と言うと、赤塚氏は「タモリに言っとこ....見習え!って」

対談中も当然のように酒を求め、最後までグラスを手放さなかった赤塚氏のお酒は、30歳を過ぎてから対人恐怖症をやわらげるためだったらしい。このときは相手をホテルで迎えるときは、2時間も前に約束の部屋に入りベッドで横になり、身体の快復に努めた。

この本は「赤塚イズム」の基本を学ぶには、あまり良書ではないかもしれないけど、わたしは「偉人の晩年」に興味があって読みました。物語系のマンガはあまり読まないのだけど、ギャグマンガは大好きで、

乙女よりも、もっと儚く、そして尊いギャグマンガとギャグマンガ家の「命」とか「魂」とか、出版社がもっともっと大切にしてくれたらなぁと思う....

◎赤塚不二夫対談集『これでいいのだ。』(アマゾン)

赤塚不二夫の対談集として、2000年1~7月『サンデー毎日』連載を中心にした『バカは死んでもバカなのだ』も忘れずに読まなきゃ。。
___________

[内容紹介]天才たちの言葉を聴け。『天才バカボン』『おそ松くん』で日本の笑いの歴史を変えた天才・赤塚不二夫が、同じく天才と呼ばれる者たちと語り合う。笑いの神髄に迫る言葉の数々、心して聴け。赤塚不二夫VSタモリ、北野武、松本人志、立川談志、荒木経惟、ダニエル・カール、柳美里の対談集。天才たちの対話は、ときに笑いの神髄に迫り、ときに生と死に触れ、ときに常人の理解を超えた高みに達する。笑いを極めたい者、生に迷う者、必読! 単行本(2000/1/14)、文庫版メディアファクトリー (2008/12/20)

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Commented by やんちゃ at 2011-10-26 13:07 x
千代田区図書館行ってくださったんですね。図書館で靴磨きの真髄に触れられるとは愉快です。その図書館の進むべき道についてしっかり理念をうちたてている人もいらっしゃるんですね。しっかり者と直感型と分けると私は後者で。だから、しっかり者に憧れる。しっかり者のyomodaliteさんが、この対談集の赤と黄色に惹き付けられた感じもわかる気がします。逆にね。
Commented by yomodalite at 2011-10-26 23:27
千代田の紹介ありがとうございました!蔵書数は少ないものの、企画ものが、コジャレていて、装幀の美しい本がビニールカバーなしで展示されているとか素敵でした!あとはDVDで影像資料をもっと収蔵してくれたら...玉三郎の踊りとか...千代田だけじゃなく、全国の図書館必須だと思うんだけどなぁ。。

uu....しっかり者なんて「リアル」では言われたことないかも....
Commented by もぐたん at 2011-11-19 12:51 x
私も最近赤塚不二夫に興味を持ちまして、貴殿の日記を楽しく拝読させて頂きました。
この対談集は数ある赤塚氏の本の中でも郡を抜いて面白いですよね。
今は社会評論社から出版された赤塚不二夫大先生を読むという赤塚まんがの評論集を読んでいます。
私も貴殿と同じ疑問を持っておりましたが、この本を読むと五十代後半まで現役で漫画を描かれていたのがわかりました。
漫画家赤塚不二夫の天才ぶりを再認識出来るオススメの一冊です。
Commented by yomodalite at 2011-11-19 13:56
もぐたん様、コメントありがとうございます!

『赤塚不二夫大先生を読む 「本気ふざけ」的解釈 Book1』名和広(著)

ですね。絶対に読みます!ご紹介ありがとうございましたーーー!!!
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by yomodalite | 2011-10-25 10:55 | 評論・インタヴュー | Trackback | Comments(4)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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