ステラ・アドラーの言葉(「魂の演技レッスン22より」)

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ジョニー・デップのことをあれこれ書き始めたときに、MJを演じる可能性...という理由を挙げてしまいましたが、私は、MJとジョニー・デップ本人が似ていると思っているわけではないんです。ジョニー・デップは今の時代を象徴する俳優の1人だと思っていますが、それは、MJやブランドから感じる「歴史的スケール感」とは違う気がします。




それでも、MJが「Greatest Actor」に抱いた気持ちは、熱心なMJファンでさえ、自分の頭の中だけで考えるよりも、ジョニー・デップを通して考えた方が、ずっと近づけるような気がすることと、外国人や外国文化を理解するうえでも、デップのような俳優の方が、

松岡正剛より、ホメーロスの『オデュッセイアー』から、ジョイスの『ユリシーズ』という流れが、血肉レベルでわかっている気がするんですよね。。

それまでの演劇を変え、ある意味、エルヴィスよりもずっと早くに登場した、ロックの先駆者というか、反逆的人物である、ブランドがどうして「シェイクスピア」をデップに熱心に薦めてて、デップもそれをやろうとしているのか。

MJも、ブランドも、ホント眠いなぁと思いつつも、古い本を読まなきゃ!と、私に思わせてくれる、もっとも甘くて、口当たりもいいけど、強力な「チェイサー」で、

下記のステラの言葉(『魂の演技レッスン22』より)も、そーゆー目的でメモしました。



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あなた方が学ぶのは、二千年の歴史をもつ演技の伝統です。演劇の歴史は古代ギリシャまで溯ります。そしてローマ時代からエリザベス朝、ジェームズ一世時代、復古喜劇、フレンチルネッサンス、ロマン派時代、イプセンのリアリズムから自然主義、二十世紀へと続きます。

この伝統は、国や地域の特色すべてを受入れ、発展してきた。言語も、時代やスタイルの変化も違いも、社会的階層の違いも、道徳観やモラルの変遷も....世代ごとの衣服や家具の違いも。流れる音楽の音色も、素焼きの器から紙コップにいたる移り変わりも。

これらすべてを受け継ぐの。演劇を学ぶあなた方、俳優が。

言葉を並べ立てたけど、どうにかして気づいてほしい。
ちっちゃいスケールの人が多いの、今の俳優は。

ちっちゃな椅子に座って、ちっちゃなジーンズを履いて、ちっちゃな世界を右から左へきょろきょろ見ながら、ちっちゃな感情を守ろうとする。自分の世代のことしか知らない。自分が住んでる近所しか知らない。自分の息がかかっていないモノや時代に興味すらない。すると、どうなる?

「世界なんてオレには関係ない、自分の範囲内で理解できないものは知りません」ってなっちゃう。やがては自分の価値も欠点もわからなくなる。自分を測る尺度を持たないからよ。目を開きなさい。(P10〜)


足を踏み入れたことのない領域にチャレンジする時は、自分が知っている物事の範囲より外側にあることを考える必要があるってこと。舞台で話す時は、日常会話のスケールじゃダメ。届きません。だから表現の幅を広げることは、大切なの。それができるかどうかはあなた次第。完全に、あなた次第。そして難しい。でも幅が広がれば、世界全体が広がります。(P17〜)


「自分さがし」のレベルで演技を終わらせている俳優が、最近多いです。そんなの興味ないわ。もちろん、自分の体験を役作りに生かすことは必要。でも、ハムレットは「オレみたいなヤツ」じゃないことをまず理解しなさい。

皆さん、等身大の人物を演じることが多いでしょう。私が育った劇団の俳優は、等親大の役をただ演じることにも、自分と違う人物をただ演じることにも、興味がありませんでした。彼らはね、自分より大きな役を演じたがったのよ。今、人物のレベルに合わせた演技ができる俳優が多くない。反対に偉大な人物を、自分のレベルに合わせて縮小してる。

今、私たちは「ちっちゃく、さりげないのが素晴らしい」って世界に生きてない?私のいうことは大げさかしら? 大げさよね。例外はあるかしら?もちろんあります。その例外は、たくさんある?多くはありませんね。(中略)偉大な作品に取組むときは、その作家の偉大さに見合うことをすべきです。(P20〜)



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次回はカリール・ジブランのエッセイ『預言者』を題材にします。ジブランは1883年、レバノン生まれ。彼のお爺さんはマロニテ教会の聖職者でした。12歳のときに家族でボストンに移住しましたが、彼は数年後、レバノンに帰らせてほしいと頼んだの。

そしてベイルートにあるマロニテ教会学校で勉強しました。それから中東じゅうを旅してまわり、再び西欧にやってきた。彫刻家ロダンの門下生として数年間パリで学び、ロダンはジブランの優れた芸術性を予見しました。1931年に亡くなるまで、彼は東洋と西洋の叡智を融合させた作品をたくさん書きました。最も有名なのが『預言者』です。

このエッセイの中からあなたが引きつけられる章をひとつ選び、わかりやすく自分なりに言い換えてきてください。自分の言葉を使って書き直してみましょう。(中略)テキストを読みこなし、作者の思考に取組みなさいということよ。思考のないテキストなんて存在しない。読んで、読んで、読んでいるうちに意味がわかり始めて来ます。

なぜ、ジブランを選ぶのかって?彼には力があるの。彼が行きたいところに、あなたを持ち上げて連れて行く力が。あなたがもの見る時は傍観者のような見方になりがち。でも、ジブランは彼の目線に、あなたを引き上げようとします。

あなた方に対して、手取り足取りしたくないけれど、そうせざるを得ません。ほとんどの人は、演劇が出来るような教育を受けてきていないからです。思考について論じるのは難しいでしょう?紙に書かれているだけですからね。でも、ゆっくり何度も読み返せば、その思考はあなたのものになる。そして、その思考を相手に対して返せるようになる。

思考ほど強いものはないんです。ステラよりも、どんな人よりも強い。神よりも強い。

演技とは「与えること」俳優は、どんなことよりもまず、与える人であるべき。自分の宝を出し惜しみしてはいけません。思考の源は、あなたの足でも、声でもない。あなたの精神が源なのよ。劇場はあなたの精神を育みながら成立している。精神を教育する場。精神がなくてもダンスは踊れる。歌も歌える。でも、演技はできません。

頭で理屈を考えてダンスは踊れないでしょう?私はダンスの先生ではないの。あなたは精神を使うために、自分の身体に意識を集中させるんです。私が教えるのは、かっこいい姿や声の出し方じゃありません。うちはカーネギーの成功セミナーとは違います。(引用終了)

ジブランの『預言者』は、1978年のマイケルのインタヴューで「愛読書」だと語っていた本ですね。

下記のとてもとても素敵なブログに詳細な記事があります。

◎78年インタビュー 
◎マイケルの愛読書と蔵書 
◎マイケルの愛読書『The Prophet』(『預言者』)を読む

『プロフェット』『預言者』というタイトルで、訳者違いで何種類も出版されてます。
散文詩なので、自分にフィットする訳者を選ぶことがポイントかも。
☆わたしが選んだベスト翻訳本はこちらです!!!

◎『預言者』アマゾン検索ページ
◎『ザ・プロフェット』アマゾン検索ページ



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(引用開始)

演劇って何? 演劇って、どれだけ意味がある? 今その質問をしたら、つまらない答えしか返ってこない。でも演劇には二千年の歴史がある。まず本来の意味と値打ちを知りましょう。(中略)

ソフォクレスは劇を書きました。オイディプスという人の話です(中略)二千年前の作品だけがすごいのではありません。1947年のアーサー・ミラーの戯曲『みんな我が子』では飛行機の組み立て工場を経営する父親が登場します。(中略)

ソフォクレスもミラーも、モラルとは何だろう、正義とは何だろうと世に訴えた。これは昔も今も、未来永劫変わらないテーマ。(中略)

わたしと一緒に演劇を学ぶ目的は、大きな疑問を世に投げかけるため。ソフォクレスに始まる偉大な作家たちの問題提起を手伝うため。昔の言葉もきちんと解釈して、現代の観客に伝える能力を身につけてもらいます。(中略)

あなたは普段、何についてしゃべってる? 周りの人は? 大事なことを話してる? つまらない噂話しかしてないんじゃない? この教室では、高いレベルの話をしてもらいます。(P30〜)


建築を学ぶ時、いきなり歴史の途中から始めて理解しようとしても無理。演劇もそれと同じ。折にふれて歴史を説明していきます。それによって、魂をやわらかく、豊かにして頂きたいと思います。

あなたは読書する? 正直に答えてね。ダンテ、キーツ、ドストエフスキーといった作家の本。そういった本を読んでいないなら、あなたは思想について語れない。人に思想を伝え、魂を響き合わせることはできない。底の浅い人生を行きているだけ。

演劇はずっと昔から存在しています。二千年の歴史がある。イギリスでは、ハムレットかリア王を演じて初めて、偉大な俳優と呼ばれます。(中略)

指揮者は3つのB ー バッハ、ベートーベン、ブラームスを制覇して偉大になる。作曲家は交響曲を作曲して初めて、能力が認められる。作家は詩的なスタイルの作品を書いてこそ認められる。

タイム誌の記者に取材を受けたことがあります。「マーロン・ブランドは偉大な俳優ですか?」って。ブランドは私の生徒でしたからね。私、こう答えたわ。「わかりません。俳優は、偉大な役を演じてこそ、偉大になるのです」

演劇を二千年の歴史に相応しいレベルに引き上げる。それが私たちの使命です。作家は戯曲を通して「この世にはルールがある。普遍的なルールがある」と訴える。それを伝えるのが演劇。

頭で理解できても、実行は難しいですね。(中略)でも、人間には成長したいという欲求が必ずある。向上心がある。その向上心を、すっと保ちなさい。(引用終了)





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by yomodalite | 2011-10-24 14:56 | MJ考察系 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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