魂の演技レッスン22 ー 輝く俳優になりなさい!/ステラ・アドラー

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つい最近まで、わたしは、映画は、映画監督のものだと思ってました。

ほとんど、すべての映画に、そーゆー表記がありますし....

お気に入りの監督の映画を全部観てみようと思ったことはあっても、お気に入りの俳優が出演している作品を全部観たいと思ったことはなくて、俳優の存在がより感じられる芝居や舞台が今も苦手です。

この俳優が出演しているんだったら、きっとイイ映画なんじゃないかな?と思って、映画を観たことは、もちろんあります。例えば、ロバート・デ・ニーロとか、エドワード・ノートン、ジョニー・デップもそうですね。

デ・ニーロ、ノートン、ブランドが共演した『スコア』(The Score)は、“You Rock My World”と同年の、ブランドの遺作映画で、アマゾンの紹介にもあるように、ノートン、デニーロの共演が話題で、ブランドは3番目の役。出演シーンも2人より遥かに少なく、この映画を最初に観て、ブランドの素晴らしさを認識する人はかなり少ないと思いますし、わたしもそう思います。

ただ、私がわかったのは、やっぱり、ブランドは彼らとは全然違うということでした。

(アマゾン評では、デ・ニーロとノートンの演技決戦の軍配にはいろいろ見方があるようですが、わたしには、これほどノートンがつまらなく見えた映画は初めてで、それが、どういうことなのかも、まだよくわからないのですが....)

これまで、わたしは『ゴッドファーザー』は、“パートⅡ”が一番傑作だと思っていて、最近、ブランド愛から“パートⅠ”を観直したんですが、やっぱり作品としては“パートⅡ”の方が、素晴らしいと思いますし、デ・ニーロは本当に素晴らしい俳優だと思いますが、

デ・ニーロの演技が素晴らしかったというような感動と、ブランドが私に与えてくれた感動とは、桁が違うというか、もう、まるで違うんですよね。

でも、どう違うのか、どうして、ブランドだけにこんなに感動してしまうのかも、まだ、どう説明していいのかわからないんですが、MJが、Singer、Dancer、Entertainerよりも、先に「Greatest Actor」 と書いたことは、ブランドという存在なしにはありえなかったということはますます確信し、(参照:マイケル・ジャクソンの顔について[39])

ジョニー・デップが、his mind is much more important than the acting thingや、He's as important as, uh... who's important today? と言ってるのも本当にそうだと思うんです。(参照:Johnny Depp talking about Marlon Brando[1])

全部にはまだほど遠いんですが、ブランドの初期から晩年までの作品を観て、彼は、デ・ニーロよりも、最後まで様々な役に挑戦してきたように感じていますが、それでいて、デップが言うように、ブランド自身の精神性を強く感じるとは、どういうことなんだろう?

それが知りたくなったので、舞台とか、芝居とか、演技にも、ほとんど興味がなかったにも関わらず、こんな本も読んでみました。


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著者のステラ・アドラーは、ブランドの自伝で「50年代から60年代にかけて演技は完全に変化した。ステラに導かれた世代が台頭するまで、俳優の多くは、私が常に思うところの“個性派”俳優」で、メソッド演技を確立したと言われ「アクターズ・スタジオ」の指導者として高名なリー・ストラスバーグに対しては、「メソッド・アクティング」という言葉はストラスバーグによって通俗化され、汚され、誤用されてきた。

私が成功を修めると、自分の教育の成果だと言い出したことや、通るものなら、太陽や月にさえクレジットを要求する奴だった」
と、かなり激烈な表現で批判し、何もかもステラから教わったことと、彼女への感謝のきもち、彼女の素晴らしさに多くのページが費やされています。(P85〜)

本書の原題は『The Art of Acting by STELLA ADLER』で2000年に出版されたもの。

以下は、ブランド(当時76歳『スコア』公開1年前)による序文


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ステラ・アドラーは私にとって、演技教師以上の存在だ。

彼女が私に伝えてくれたことはこれ以上ないというほど尊く、価値がある。自己の感情が生まれるしくみと、他者の感情が生まれるしくみをいかに見出すか。

いわゆる「メソッド」演技の流行に乗じてまやかしの技法が横行しても、彼女はけっしてそれに組することはなかった。その結果、彼女の演劇文化に対する貢献は世に知られることなく埋もれていった。

私が知る限り、パリに渡ってコンスタンティン・スタニスラフスキイから直接教えを受けた米国人アーティストはステラ・アドラーただ1人だ。スタニスラフスキイはロシア演劇界で最も偉大な存在であり、卓越した人間観察力を持っていた。

彼女は氏のテクニックをアメリカに持ち帰り、自らのレッスンに組み込んだ。それが世界中の演劇文化に影響を与えるとは、彼女自身夢にも思わなかっただろう。

アメリカ映画は世界中の映画に影響を与えている。
そのアメリカ映画に影響を与えたのは、実はステラ・アドラーの演技に対する教えなのだ。
彼女は多くの人に愛され、貢献している。

私の人生に言い尽くせないほど大きな助けを頂いたことを感謝している。また公私にわたり、生涯おつきあいさせて頂いたことを光栄に思う。

マーロン・ブランド


彼女が「俳優」に求める理想は、とてもとても高いので、本書は演技を真剣に学ぼうと思っている人にとっても、厳しい本だと思いますし、ましてや、わたしは、今まで1度も俳優になりたいと思ったこともありませんし、もちろん、今はもっとそう思っていますけど、

ステラ・アドラーは、ブランドが尊敬するだけあって、完全に「思想レベル」の人で、そのせいか、わたしはすごくいっぱい付箋を貼りながら読みました。

また、彼女が「俳優」とは何かについて書いていたことを知ると、MJの「Greatest Actor」や、「映画を撮っていくことの芸術的価値について彼が抱いている想いを知ると、僕は畏怖の念を抱いてしまいます」(参照:映画『ブレイブ』監督・脚本・主演:ジョニー・デップ[2])

と言っていたことや、日々努力を重ねていたことが少し感じられたというか、わたしもますます彼に畏怖の念を抱いてしまいました(って、もうすでに抱き過ぎなんですけど...)

わたしは以前は、MJの映画への思いは、自ら主演するとしても、監督業への興味が大きいんじゃないかとずっと思っていたんですね。彼は2000年頃のインタビューでも、エンターティナーというイメージが強いけど、作曲家としてや、SFの製作においても、クリエーターとして過小評価されているといった不満が感じられたので、

総合芸術と言える映画製作では、監督や、プロデューサーなど、KING OF POPとして以外で、色々とアイデアを実現させたかったことがあったんじゃないかと思っていました。でも、まだ結論を出せる段階ではありませんが、ブランドのことを知って、あの「メモ」を見てから、かなり考えが変わりました。


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◎ステラ・アドラー(ウィキペディア)

詳しいことはわかりませんが、本書はステラが亡くなって8年後に出版されていて、もしかしたら、この出版もブランドの尽力により実現したのかもしれません。

ブランドの序文では「彼女の貢献は世に知られることなく埋もれていった」とありますが、本書の出版が経緯になったのでしょうか?現在、彼女の功績は2006年に「ハリウッド・フェーム」にも刻まれ、ステラ・アドラーの名を冠した演技スクールは今も健在のようですが、そのスクールの名誉会長は生前ブランドが努めていたようです。

☆☆☆☆☆(満点)

◎『魂の演技レッスン22』(アマゾン)

☆「ステラ・アドラーの言葉」につづく

____________

[内容紹介]世界的に多大な影響を与えた俳優教育法で知られるロシア・ソ連の巨匠、スタスフラフスキーから教えを受けた唯一のアメリカ人として、マーロン・ブランド、ロバート・デ・ニーロ、ハーベイ・カイテル、ベニチオ・デル・トロ…など、多くの優れた俳優を育てたステラの魂が宿る、演技のHow-to本ならぬWhat-to本。と同時に、世界を一つの劇場とするならば、その登場人物である全ての人に向けた人生哲学書でもある フィルムアート社 (2009/4/22)

[著者について]1901年、ニューヨークの俳優一家に生まれ、幼少の頃から舞台に出演。1931年、米国の演劇界に新風を吹き込んだグループ・シアターに参加したが、リー・ストラスバーグが唱える感情の記憶を中心とした「メソッド」の解釈に反発。提唱者スタニスラフスキイ本人に教えを乞い、「状況を想像することの大切さ」が氏のメソッドの本意であることを確認した。1947年、自身の名を冠した演劇学校を設立。20世紀最大の俳優といわれるマーロン・ブランドの可能性をいち早く見抜き、『欲望という名の電車』の歴史的名演に導くなどしてアメリカの伝説的演技教師となる。1992年没。


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by yomodalite | 2011-10-21 18:43 | MJ考察系 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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