2011年 10月 11日
トラウマ映画館/町山智浩 |
選ばれたのは、下記の25編なのですが、これらの映画を、町山氏が「どう語っているか」が面白い本なので、それは、是非本書で。
◎「消えた旅行者」は存在したのか?
『バニー・レークは行方不明』(allcinema)
[動画]Saul Bass title sequence - Bunny Lake is missing (1965)
オープニングのタイトルバックデザインは、
下記の『戦慄! 昆虫パニック』の監督でもあるソウル・バスによるもの。
◎孤高の鬼才が描く、アイドルの政治利用
『傷だらけのアイドル』(allcinema)
[動画]PRIVILEGE(1967)Trailer
[動画]日本語吹替えエンディング
◎人間狩りの果てに言葉を超えた絆を
『裸のジャングル』(allcinema)
[動画] THE NAKED PREY(1966)
◎『エクソシスト』の原点、ルーダンの悪魔祓い
『肉体の悪魔』(allcinema)
『肉体の悪魔』(アマゾン・VHS )
[動画]THE DEVILS(1971)Trailer
『尼僧ヨアンナ』(アマゾン)
[動画]JOAN OF THE ANGELS(1961)
『エクソシスト』(アマゾン)
◎世界の終わりと檻の中の母親
『不意打ち』(allcinema)
[動画]Lady in a Cage (1964) pt.1/9
◎ハリウッド伝説の大女優、児童虐待ショー
『愛と憎しみの伝説』(allcinema)
[動画]Mommie Dearest(1981)- Theatrical Trailer
◎少年Aが知らずになぞった八歳のサイコパス
『悪い種子』(アマゾン)
[動画]The Bad Seed (1956) - Original Theatrical Trailer
◎あなたはすでに死んでいる
『恐怖の足跡』(アマゾン)
[動画]Carnival of Souls(1961) Trailer
◎奴らは必ずやって来る
『コンバット 恐怖の人間狩り』(VHSレンタル)
『コンバット 恐怖の人間狩り』(allcinema)
◎初体験は水のないプールで
『早春』(allcinema)
[動画]DEEP END(1970)Trailer
[動画]日本語吹替えダイジェスト
◎古城に吠える復讐の火炎放射
『追想』(アマゾン)
[動画]THE OLD GUN LE VIEUX FUSIL(Le vieux fusil)(1975)
◎人間対アリ、未来を賭けた頭脳戦
『戦慄! 昆虫パニック』(アマゾン・VHS)
『戦慄! 昆虫パニック』(allcinema)
[動画]Phase IV (1974) Trailer
[動画]Phase IV, Saul Bass, (1974) 1/9
『戦慄! 昆虫パニック』は、タイトルバックのデザインで一世風靡した
ソウル・バスの監督デビュー作!
◎残酷な夏、生贄のかもめ
『去年の夏』(allcinema)
[動画]The Last Summer (1969)Trailer
◎核戦争後のロンドンはゴミとバカだらけ
『不思議な世界』(allcinema)
[動画]THE BED-SITTING ROOM(1969)
◎アメリカが目を背けた本当の「ルーツ」
『マンディンゴ』(アマゾン)
『マンディンゴ』(allcinema)
[動画]MANDINGO(1975)Trailer
◎ヒルビリー、血で血を洗うご近所戦争
『ロリ・マドンナ戦争』(allcinema)
[動画]THE LOLLY-MADONNA WAR(1973)
◎深夜のNY、地下鉄は断罪の部屋
『ある戦慄』(allcinema)
[動画]THE INCIDENT(1967)- Part 1
◎メーテルは森と湖のまぼろしの美女
『わが青春のマリアンヌ』(allcinema)
[動画]MARIANNE DE MA JEUNESSE(1955)
◎真相「ねじの回転」、恐るべき子どもたち
『妖精たちの森』(アマゾン)
『妖精たちの森』(allcinema)
[動画]THE NIGHTCOMERS(1971)
[動画]THE NIGHTCOMERS(1971)ロシア語吹替え?
◎十五歳のシベールは案山子を愛した
『かもめの城』(アマゾン)
『かもめの城』(allcinema)
[動画]RAPTURE(1965)Part-1
◎サイコの初恋は猛毒ロリータ
『かわいい毒草』(allcinema)
[動画]PRETTY POISON(1968)Trailer
◎聖ジュネ、少年時代の傷
『マドモアゼル』(Movie Walker)
[動画]Mademoiselle(1966)Trailer
◎二千年の孤独、NYを彷徨う
『質屋』(allcinema)
[動画]THE PAWNBROKER(1964)
◎復讐の荒野は果てしなく
『眼には眼を』(allcinema)
◎誰でも心は孤独な狩人
『愛すれど心さびしく』(allcinema)
[動画]THE HEART IS A LONELY HUNTER(1968)Trailer
語られているのは、主に70年代にテレビ東京で放映されたもので、現在観ることができないものが多く、わたしが、この中で観たことがある映画は、『妖精たちの森』『肉体の悪魔』『尼僧ヨアンナ』の3本のみ。
『妖精たちの森』は、ブランド絡みで、つい最近観たところなので、よく覚えているのですが、実はわたしのブランド好きが頂点に達してしまったのはこの映画で、それは、本書で町山氏が述べているように、
かつてのセックスシンボルも体はたるみ、髪の毛も薄くなったが、野性的なセックス・アピールは健在で(中略)数年後の『ラスト・タンゴ・イン・パリ』へとつながっている。そのいっぽうでクイント(ブランド)は無垢な子どものようでもある。マイルズ(少年)たちと一緒に実に楽しそうに野山を駆け回り、いたずらっ子のように笑う。
という、ブランドの個性に深くハートを射抜かれてしまったからなんですけど、もし、この映画を子どもの頃に観ていたら、100%そんなことはなく、やっぱり「トラウマ」の可能性が高かったと思う。映画は、その時代の評価だけでなく、しばらく経ってから観直すことによって、驚くほど違って見えることが多いですね。
大体このブログを始めた頃ぐらいから、かなり無理して、古い日本映画を観ていたんですが、未だに「モノクロ映画」を観るのはキツいことに比べると、70年代の映画は「カラー」になっているだけで、楽に観ることができるうえに、現在ではまったく創られていないようなタイプの映画が多くて、本書を読んで観たくなった映画がたくさんありました。
人間の変化はあまりなくても、たった40〜50年ほど前で「世界」は激変しているように描かれる。CGも3Dもない時代の映画技術と、現在の映画では、その進歩は明らかですけど、月にも、もう何十年も行ってないので、宇宙も70年代より遠くなった気がしますし、未だに空を飛んでる人間を観たことはないですが、映画で、肉体を体温として感じることも少なくなったような気がするので、
『肉体の悪魔』『尼僧ヨアンナ』も再度挑戦したいですね。高校生の頃、名古屋の七ツ寺共同スタジオで観た記憶があるのですが、暗くてエロい?くらいの記憶しかなく『エクソシスト』も実は観たことがなかったので、この機会に、これら3本の繋がりを確認しつつ、『肉体の悪魔』だけでなく、他のケン・ラッセルの映画も全部観てみたい。
『不意打ち』『何がジェーンに起こったか?』『愛と憎しみの伝説』....の怖いママものにも惹かれますが、『愛と憎しみの伝説』で主役のジョーン・クロフォードを演じたフェイ・ダナウェイが、そんな理由で人気が下降していたというのも、しばらく前に『ドンファン』を観たばかりの私には興味深く、『悪い種子』の子役パティ・マコーミックの現在も気になるし、
また、デヴィッド・リンチもフリークに違いないという『恐怖の足跡』も『イレイザー・ヘッド』に人生を変えられたほど影響を受け、リンチ作品の中でも、ベスト3からは絶対に外せない『ロスト・ハイウェイ』にも影響大となると、もう何が何でも観たくなるし、
『シベールの日曜日』の少女、パトリシア・ゴッジが15歳で主演した『かもめの城』も必見だなぁ。『ミツバチのささやき』の当時、7歳だったアナ・トレントが10歳のときの『カラスの飼育』も素晴らしかったし。。
タイトルからは、想像がつかないけど『質屋』は、アメリカで初めてのホロコーストをテーマにした作品で、
『眼には眼を』は、中東の人々の血の報復を象徴していると思われがちだけど、本当は、眼を潰した者に対しては、眼を潰した以上の罰を禁じ、行き過ぎた刑罰や報復を法で規制するという罪刑法定主義の原点を表しているもの。
また、町山氏は『愛すれど心さびしく』が70年代には何度もTV放映されていたのに、80年代以降は見なくなったのは、聾唖者を侮蔑するとされる言葉が頻出するせいではないかと言われていて(原作はカーソン・マッカラーズの『心は孤独な狩人』で、病弱だったマッカラーズは孤独な少女時代を送ったらしい)、主演の少女を演じたのは、イーストウッドの永年の愛人だった、ソンドラ・ロック。
「ロリ・マドンナ戦争」って、また変な邦題つけちゃってとか思ってたら、原題どおりだったり(THE LOLLY-MADONNA WAR)、『不思議な世界』は、ビートルズでお馴染みのリチャード・レスターだし....
ジョン・クリーズは「スパイク.ミリガン(英国50年代BBCのラジオ番組「グーン・ショー」で有名)は我等の偉大な神」だと発言し『ライフ・オブ・ブライアン』にはスパイク・ミリガンが出演し、『ライフ・オブ・ブライアン』は元々、レスターが企画していたものだった。
「何をすべきか、教えてくれたのはレスターさ」ージョージ・ハリスン
この本さえ読まなかったら観なくて済んだのに、読んでしまったら、観ないではいられなくなる映画が満載の、とても悩ましい本です。わたしは今、70年代を復習しようと思っていて、とりあえずケン・ラッセル監督に注目しているのですが、現在なかなか観ることができない作品が多くて困ってます。
オスカー・ワイルド宅にキリンが居るという影像が、ケン・ラッセルの映画だったんじゃないかと思っているんですが、どなたかご存知の方おられますか?(『サロメ』にはそんな場面なかったかな。。)
TUTAYAが自社でDVD再発して『トラウマ映画コーナー』が出来ればいいのに。。
◎トラウマ映画館(アマゾン)
by yomodalite
| 2011-10-11 18:47
| 映画・マンガ・TV
|
Comments(0)