日本再占領/中田安彦

心から思う。2011年3月11日の前にマイケル・ジャクソンと副島隆彦氏に出逢えていて本当に良かった。また副島氏の師匠である小室直樹氏から「アノミー」を教えてもらっていなかったら、わたしは確実にそれに侵されていたと思う。

本書は、副島国家戦略研究所(SNSI)の研究員であり、この震災の前後にもっとも注目してみていたツイートの発信者である中田安彦氏(bilderberg54 アルルの男・ヒロシ http://twitter.com/#!/bilderberg54)の最新本で、日本国民必読の政治研究本。

☆この間の注目ツイッターの抜粋は右欄「カテゴリ:日常」と「タグ:東電原発事故」にあります。

未だに「天皇制」などと言っている人、ポピュリズムを「大衆迎合主義」だと思っている人、イルミナティという言葉を知っているだけで「真実」がわかったような気分になっている人におすすめします。

著者の「おわりに」がとてもとても素晴らしいので、下記に省略して引用し、その後に、本書の目次を転載します(目次が素晴らしいので)。

(引用開始)

2011年3月11日、すべての日本人にとって「空気」が変わった。これは自身を取り巻く環境だけではなく、原発事故で放出された放射性物質により、物理的な意味でも空気は変わった。
 
震災が起きて4カ月半が経過した。本書では、一貫して「日本が統治能力を失ったので、日本はアメリカに再度占領されたのだ」と論じてきた。

日本が自国を自力で統治する能力を失った理由は幾つかある。まず、民主党政権が官僚機構の徹底的なサボタージュ(嫌がらせ)を受けて、マニフェストで掲げた重点政策の実現に行き詰まったことである。

この事実について、私は「ウィキリークス」による米流出公電を引用しながら、この官僚の政治家への・反逆行為・を裏付けた。

しかし、政治主導を目指した民主党の政治家にも問題がなかったわけではない。鳩山由紀夫前首相が重点政策に掲げた普天間基地移設交渉の見直しには、十分な事前の準備と根回しが必要だった。

同じく政治主導を目指して政治家と官僚との関係を根本から見直そうとした小沢一郎元民主党代表の苦闘についても触れた。この国を支配しているのは古代からの「律令制度の亡霊」であることも十分に論証できたと私は自負している。
 


2009年9月以来、官僚機構によって日本の統治能力が骨抜きにされていくなかで、この大地震が起きた。そして、日本は再びアメリカに占領された。
 
しかし、「なんだ、日本はもう再占領されてしまったのか。もう何をやってもアメリカの言いなりか」と悲観的になるのは早い。民主党政権がなぜ行き詰まっているのかを、本書では明らかにした。

その正体とは、戦後の日米関係を動かしてきた日米双方の官僚がつくる「日米事務方同盟」による不透明な「談合体制」だった。これを突き崩すことが重要である。
 
これを書いているとき、民主党政権の首相は菅直人である。震災直後は危機対応の不手際でバッシングされた菅だが、脱原発政策についてはじっくりと時間をかけてやっていくつもりのようだ。アメリカからの圧力もうまく利用しながら、国内の経団連や経産省といった20世紀の日本の経済発展の主役となった既得権益を相手にノラリクラリとうまくやっている。
 
むろん、菅政権が延命しているのは、米ホワイトハウスの原発・エネルギー専門家たちの意向をふまえて、福島第一原発の「封じ込め」のタイムテーブル(工程表)を実行しているからだ。

細野豪志に指示を与えているのは。ジョン・ホルドレンというホワイトハウスの科学技術担当補佐官だ。ホルドレンはジェイ・ロックフェラー上院議員が高く評価する一人だ。

確かに日本政府の「統治能力の消失」は必然的に日本再占領に繋がっている。しかし、その占領を行っている側のアメリカだって、いつまでも日本の面倒をみることができるわけではない。

アメリカでも日本と同様に、連邦政府の財政赤字が深刻だ。数年以内に、米国債の債務不履行(デフォルト)も確実に起きるだろう。そうなると、世界中にいつまでも軍隊を展開できる状況ではなくなる。つまり、世界覇権国アメリカの衰退は始まっている。

今、日本の真の意味での自立を阻んでいるのは、「アメリカに依存しておけば日本は大丈夫だ」と言い続け、結果的に日本独自の国益、それに基づいて編み出される国家戦略を定義してこなかった政財界人たちである。その人たちは、前原誠司という新しい自分たちの代理人を育てている。

戦後日本は、そのアメリカの「戦略」の意のままに動かされてきた。だが、そういうことはそろそろ終わりにしようではないか。これからの日本は「自立した国家」として国益を定義する。その際、アメリカとも友好国のひとつとして過度に敵対することなく、付き合っていけばいい。もちろん次の超大国・中国とも同様だ。

だから、「日米同盟の深化」の名のもとで主体的判断を政治家が放棄し、外務省にすべてを委ねてしまってはいけない。

国内の政治改革においても、小沢一郎が掲げた「自立した個人」を主体とする「1200年ぶりの政治革命」の意義を踏まえ、私たちが新しい世代の政治家を育てていく必要がある。国民のレベル(民度)以上の政治家は誕生しないからだ。

本書はそのような「新しい日本」を次の世代に残すための格闘をしてきた前の世代の政治家の成功と失敗に学ぶ本でもある。

最後に、アメリカの歴史家、ジョン・ダワーの言葉を紹介したい。『敗北を抱きしめて』(岩波書店)という本の中でダワーは、先の大戦の後、アメリカの庇護の下で復興した日本の社会の姿をありのままに記録している。

私は震災後、ダワーが朝日新聞のインタビューに答えているのを読んだ。ダワーは、「当初、この本の名前は『打ちのめされた国で最初からやり直す(Starting Over in a Shattered Land)』というタイトルで考えていた」と言う。

今の日本も、「原発震災で打ちのめされた国で最初から国づくりをやり直す」時であるだろう。そのように強く思う。2011年7月21日 中田安彦 (引用終了)



第1章〈日本再占領〉──日本は何に負けたのか

「天皇のメッセージ」は再びの玉音放送だったのか
アメリカが首相官邸に乗込んできた
日本支援の陰で進められる「復興プロジェクト」の思惑
「第三の敗戦」を象徴するアノミー状態
原子力をひたすら崇拝した「猿の属国」の日本人
「大東亜戦争」「マネー敗戦」に続いての「原子力敗戦」

第2章 ウィキリークス流出公電が暴いた〈官僚主導国家・日本〉

世界を震撼させたウィキリークスの衝撃
アメリカ大使館発・日本関連1660点の機密文書
たった4年で暴かれてしまった外交公電群
首相外交の武器となった日本の総理の「性格・性癖」詳細分析
元首相補佐官と北米局長が漏らした鳩山首相の「弱点とクセ」
流出した公電の内容ーー「新政権」「普天間」「原子力問題」の深刻度
日米「裏切り」外務官僚たちが陰で手を握り合っていた
[流出公電①]クリントン国務長官の東京訪問に向けた背景説明
[流出公電②]キャンベル次官補、岡田克也・民主党幹事長と会談
民主党議員たちが連発していた「ボタンの掛け違い発言」
[流出公電③]民主党に見る選挙前の対米観の多義性について
[流出公電④]鳩山側近が語る鳩山次期政権
民主党政権潰しに血道を上げた外務官僚たちの行状
[流出公電⑤]キャンベル国務次官補と斎木昭隆アジア太洋州局長が会合
[流出公電⑥]キャンベル国務次官補と日本政府当局者が米軍再編を巡る経緯について協議
[流出公電⑦]同盟管理の問題:キャンベル次官補が前原沖縄担当相と会談
親子二代で米流ソフトパワーに籠絡された世襲外交官
[流出公電⑧]日米同盟の当局者が、民主党政権の密約問題と普天間代替施設問題の取扱に憤慨
新たな密約の発覚が垣間見せた「日米の深層」
エリート事務次官は、国家指導者を「教育する」
[流出公電⑨]21日に開かれた大使と薮中三十二外務事務次官との昼食会
小沢側近・山岡賢次の「勘違い」発言、親米・前原誠司の「誤誘導」発言
[流出公電⑩]普天間代替施設、民主党が年内の「合理は無理」
[流出公電⑪]ルース大使と前原国交相会談
日本の官僚システムへの懸念が原発事故で現実になった
[流出公電⑫]日本における重大な社会基盤と危機対応
「日米事務方談合同盟」の行動から見えてきた亀裂

第3章 普天間交渉の失敗に見る〈世界観の衝突〉と〈時間軸概念の欠如〉

鳩山論文に襲いかかった日米の「内通ネットワーク」
鳩山論文に投げかけた「世界観の衝突」という重大問題
アメリカが危惧した「近衛文麿の“英米本位の平和主義を排す”」
鳩山一郎と「欧州連合の父」クーデンホフ=カレルギー
祖父・鳩山一郎も孫・由起夫も、手の内をすべて読まれていた
「鳩山アイスクリーム」を溶解させたアメリカの外交力
それでは小沢一郎と前原誠司の「世界観」はどんなものだろうか
[1]小沢一郎の世界観ー「国連中心主義」
[2]前原誠司の世界観ー「日米同盟の深化」
世界観の衝突を補うのは「時間軸」の概念
すべてを見抜いていたケント・カルダーの「駐留米軍論」
米議会が最後に持ち出してきた「嘉手納統合案」

第4章 政策的起業家・小沢一郎に立ちはだかった〈日本律令制とアメリカ〉連合軍

霞ヶ関・律令官僚と死闘を演じる「アテルイの末裔」
2009年2月24日ーーそれはアメリカに対する日本の「独立宣言」の日
「2007年大連立騒動」で暗躍した読売新聞社主
小沢辞任後の政局を協議した2009年の「三極委員会東京総会」
東京地検特捜部の「恐るべき出自」
「政治思想家」としての小沢一郎を考える
日本の歴史に連綿として影を落とす「律令制度」
天皇の代理人・藤原不比等が遺した「政治秩序」
律令制度が画策した陰謀は今年で1310年目
認証官らは小沢一郎を“格下”の反逆とみた
「北辰会」という新名称が暗示する小沢グループの深層意識

第5章 〈ポピュリズム現象〉としての民主党代表選と大震災後の日本

「小沢包囲網」に追いつめられた末の代表戦出馬
「国民の政治が第一」こそが真の意味のポピュリズム
「ポピュリスト・オザワを潰せ」を実行した検察審査会の匿名11人の市民
大震災が「日本の統治能力の真空」を直撃した
「ギブ・ミー・チョコレート」から「ギブ・ユー・キャンディ」へ
戦略国際問題研究所(CSIS)タスクフォースの顔ぶれと思惑

おわりに 「打ちのめされた国で、最初からやり直す」

☆☆☆☆☆(満点)
311を語るうえで必読の書。この本を読まずに情報収拾するのは時間の無駄です。

◎『日本再占領』(アマゾン)
◎著者による“日本再占領「原発アノミー」で大混乱した3.11後の日本”(1)〜(5)

_______________

[内容紹介]日本は、再び、アメリカの占領下にある―。にわかには信じられない話だろうが、これが本書で展開される内容である。そのために私は、客観的と言い得る証拠を可能なかぎり集めた。日本が再占領されてしまったのは、同盟国アメリカが、東日本大震災後の菅直人政権の対応と与野党の右往左往ぶりを見て、「今の日本は事実上、軽度の破綻国家(フェイルド・ステート)である」と認定したからである。「今の日本政府に統治能力なし」と、アメリカが判断した結果が、現在の再占領なのだ。成甲書房; 初版 (2011/8/6)




[PR]
トラックバックURL : http://nikkidoku.exblog.jp/tb/16412504
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Tracked from 罵愚と話そう「日本からの.. at 2012-04-17 09:18
タイトル : だとしたら、日本の国連中心主義の外交政策はまちがっている。
「ごくすなおな気持ちで歴史年表をながめれば…」について  つまり、ここでわたしが主張してきたのは、第二次大戦を『連合国 Vs 枢軸国』の構図から『大日本帝国 Vs アメリカ・支那』に変えてながめてみようという提案だ。そうすると。どうみても倫理、正義にかなった外交を展開してきたのは日本外交で、連合国による報復裁判や占領統治に正当性はない。  さらにここからは日本の戦後民主主義への疑問がふきだすわけだが、そのまえにちょっと指摘しておきたいのは、戦後地球を支配している国際連合への疑問だ。国...... more
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by yomodalite | 2011-08-13 18:56 | 311関連 | Trackback(1) | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


by yomodalite