永遠の0(ゼロ)講談社文庫/百田尚樹

永遠の0 (講談社文庫)

百田 尚樹/講談社





震災ショックの影響からか、3〜5月は頻繁にTwiitterを見ていて、そのなかで、東野幸治さんが「号泣」されたというツイートを見て興味をもった本。

文庫本でも2009年(単行本は2006年)という古い出版にも関わらず、未だに図書館でも予約がいっぱいで、なかなか借りられませんでした。

アマゾンレヴューでも、295件という驚異的なレヴュー数で、星4つ半というような評判のいい本は、わたしの場合、通常読むことも少ないし、ブログに書くことは、もっとないのですけど(そんなに知られていない、イイ本を紹介するのがモチベーションなので)、

久しぶりの小説で、今まで読んだことのない著者ということもあって、めずらしく手にとってすぐに「解説」をのぞいたら、本を読む前に涙が・・・

「解説」 児玉清

わたしは、子どもの頃から、筋金入りの「熟男」好きなんですけど、児玉さんは、わたしの中で「日本一スーツが似合う男」の常にNo.1でした。

オシャレにスーツを着こなしている方は大勢いて、そのディティールに目を奪われることは多いのですが、児玉さんは、いつも素敵だったにも関わらず、後から思い出そうとしても、シャツの色も、ネクタイの柄も、スーツの色さえ思い出せないぐらい、あまりにも自然にスーツが似合う、本当に本当にステキな方でした。

永年放送されていた、クイズ番組の方は見たことがなかったのですが、児玉さんが出演される『週刊ブックレヴュー』が大好きでした。児玉さんがいない『週刊ブックレヴュー』なんて、タモリがいない『タモリ倶楽部』よりありえなくて、わたしは、未だに、児玉さんがいない世界に慣れることができません。

以下は、児玉清さんの、13ページにわたる「解説」から、ほんの少しだけ。

心を洗われるような感動的な出来事や素晴らしい人間と出逢いたいと、常に心の底から望んでいても、現実の世界、日常生活の中ではめったに出逢えるものではない。しかし確実に出逢える場所がこの世にある。その場所とは、本の世界、つまり読書の世界だ。もっと場所を小さく限定すれば、小説の世界と言っていい。

作者がそれぞれの思いや願いをこめて、様々なテーマで、人物や舞台や時代を設定して物語を紡ぎだす小説。そこには当然のことながら、好むと好まざるとにかかわらず、作者の全人格が投影される。従って、常に読む者の心を清々しく洗うことのできる小説を書ける作家、素晴らしき感動をもたらす小説を書ける作者というのは自ずと限定されてくる。

今回、紹介することになった作家、百田尚樹氏は、まさにそうした範疇に入る作家の一人で、デビュー作である本書『永遠の0(ゼロ)』と出逢えたときの喜びは筆舌に尽くし難い。それこそ嬉しいを何回重ねても足りないほど、清々しい感動で魂を浄化してくれる稀有な作家との出逢いに天を仰いで感謝の気持ちを表したものだ。

さて、『永遠の0』とは、いったい何なのだろう? とタイトルの意味を計りかねて、本書を手にした方も沢山いるのではないか、と思うのだが、どうだろう。実を言えば、僕もその1人であった。ところが、読みはじめて暫くして零戦パイロットにまつわる話だと徐々にわかってきたとき、僕の胸は破裂するほどの興奮にとらわれた。零戦という戦闘機に戦争中の子どもの頃から憧れを抱いてきたこともあるが(このことは後述するが)、現代と戦争中を交錯する物語の面白さにぐいぐいと引き込まれ夢中になってしまったのだ。

しかも途中何度も心の底からこみあげてくる感動の嵐に胸は溢れ、突如うるうると涙し、本を閉じたときには、なにやらハンマーで一撃を喰らったような衝撃とともに、人間として究極とも思える尊厳と愛を貫いた男の生き様に深々と頭を垂れ、心の中を颯と吹き抜けた清々しい一陣の風とともにうるわしい人間の存在に思いっきり心を洗われたのだ。(中略)

戦争のことも、零戦のことも知らない若者たちが読んでも素晴らしい感動が彼らの心を包むであろうことは間違いないことをここで強調しておきたい。いや、むしろそういう若者たちにこそ、ぜひ本書を読んでもらいたいと痛切に思っている1人だ。作者の意図もそこにあったと思う。

事実、本書の中では、太平洋戦争とはどんな戦争で、どのような経過を辿ったのか。また、この戦争に巻き込まれた我々日本人は、軍人は、国民は、その間に、どのように戦い、どのように生きたのか。国を護るために戦わなくてはならなかった若者たちの心とは、命とは。彼ら若者たちを戦場に送り出したエリート将校たちの心は、といったことを作者はものの見事にわかりやすく物語の中にちりばめているからだ。

なまじの歴史本などより、はるかに面白く戦争の経緯とその実態を教えてくれる点でも実に秀逸な物語だと思うのは僕だけであろうか。(引用終了)


零戦にも、戦争にも、興味がない、少女から老女までと、すべての日本人に!
☆☆☆☆☆(満点)

◎『永遠の0』講談社文庫(アマゾン)
__________

[BOOKデータベース]日本軍敗色濃厚ななか、生への執着を臆面もなく口にし、仲間から「卑怯者」とさげすまれたゼロ戦パイロットがいた…。人生の目標を失いかけていた青年・佐伯健太郎とフリーライターの姉・慶子は、太平洋戦争で戦死した祖父・宮部久蔵のことを調べ始める。祖父の話は特攻で死んだこと以外何も残されていなかった。元戦友たちの証言から浮かび上がってきた宮部久蔵の姿は健太郎たちの予想もしないものだった。凄腕を持ちながら、同時に異常なまでに死を恐れ、生に執着する戦闘機乗り―それが祖父だった。「生きて帰る」という妻との約束にこだわり続けた男は、なぜ特攻を志願したのか?健太郎と慶子はついに六十年の長きにわたって封印されていた驚愕の事実にたどりつく。はるかなる時を超えて結実した過酷にして清冽なる愛の物語。 単行本:太田出版 (2006/8/24) 文庫版:講談社 (2009/7/15)

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by yomodalite | 2011-07-21 11:42 | 文学 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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