マイケル・ジャクソンの顔について(25)幻のSF「Unbreakable」3

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わたしは、MJが1ミリ間違っているように見えるときは、こっちは1メートルぐらい間違ってる可能性の方が高いんじゃないかと、よく思うんです。。。

(7)まで戻って見てくださっている方が多くて、申し訳なく思ったり、ここまで書いたことも、反省点ばかりが気になってきましたが、(21)から、わたしが最も言いたいのは、この時期のSONYとの確執も、彼自身の不可解さも、決して残念なことではなかったということなので、

夜露死苦っ!!! (by : 夜喪堕璃手)


下記は(21)〜(24)をまとめて、少し表現を代えて、加筆したようなものです。

Invincible期のMJの活動には、ソニーウォーズに絡んだ説明をされることが多く、2010年に発売になった、DVD『VISION』完全生産限定盤の“You Rock My World”の項で、解説の西寺郷太氏は、

この時の確執は彼の音楽人生において損失だった。と僕は思う。

と、記されていて、西寺氏のことは、MJのことを、膨大な知識としてでなく、血肉として理解されていて、とてもとても尊敬していますし、

アルバムに収録されなかった、素晴らしい曲をいっぱい知っている1ファンとしても、ここからアルバムが創られなかったことは、ずっと残念だったと思ってきたんですが、

Invincible期から『THIS IS IT』までのMJを、特に「顔」を中心に見ていくうちに、この時期から、彼はアルバムを創れなかったり、パフォーマンスが出来なかったのではなく、それをしなかったことに意味があったんじゃないかと思うようになりました。

この時期のMJが不可解に見えるのは『Invincible』の音楽の圧倒的な完成度に比べると、彼のヴィジョンの方には、少しだけ混乱があって、

その混乱を「You Rock My World のあの顔」ではなく、

ソニーウォーズの原因にもなったと言われる、"Unbreakable" のSFが創れなかったという情報から考え直しました。

一部の情報では、SF"Unbreakable"は、第3段シングルとして、その時点まで、SF化計画があったように感じられますが、

わたしは、“You Rock My World”のSF決定の段階で、それは破棄されていたと思っています。(今後の展開で、さらに説明する予定)

◎業界全体で、音楽アルバムの商品価値の下落が、一層進んだこと。
◎シングル発売〜SFでアルバムを売るというビジネスモデルが崩壊したこと。

この2つは『Invincible』制作中に、MJも感じていたことだと思いますし『Invincible』を完成後は、今後、アルバムを継続して創って行くことより、もっと違うことの方に、興味があったと思います。


Do you feel like your most creative period is yet to come?
Q : あなたの創作のピークはもう過ぎたと感じますか?


I think the best work is coming, but I'd like to go into other areas, not keep doing album after pop album.
MJ:最高の仕事は出来たと思う。アルバムを作り続けるより、もっと他の領域に足を踏み入れたい。(TV GUIDE Interview 1999より)


そのひとつは、幼いころからの「影像」への深い興味で、『Invincible』の完成度に、相応しい影像を創ることは、アーティストとして、確実に挑戦したいことだったと思うのですが、それは『Invincible』の音楽ほど、完璧には出来なかった。

なぜなら、

MJが映像化したかったのは、"Unbreakable" の音楽PVではなくて、「アンブレイカブルな男」そのものだからです。



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MJは、ずっと「映像化」を考えてきていますが、

ダンサーとしてだけでなく、様々な、エンターティナーやミュージシャン、SONYの盛田会長などのビジネスマン、キング牧師や、ネルソン・マンデラ....ミケランジェロのような歴史に遺る芸術家や、イエスすらも、目標として、人生を歩んできたMJにとって、

“Invincible”(無敵)で、“Unbreakable”(不死身)と言える「ストーリー」を、構築するのは、彼がどんなに天才であっても、というか、天才であるからこそ「不可能」というジレンマに陥るようなものだったのではないでしょうか。

西寺郷太氏の『新しい「マイケル・ジャクソン」の教科書』の第6章《摩擦 ソニー、モトーラとの諍い》には、

創業者の盛田昭夫会長を尊敬していたMJにとって、「これは、自分が愛したソニーではない」という気持ちが強かったのかもしれません。

という記述がありますが、

MJが、これまでの天才アーティストと違うのは、多くのアーティストや、そのファンも信じてきた「一番売れるものが、一番良いわけがない」ということを覆したところです。

この時代までの、SONYとMJは、レコード会社とCDを売るだけのアーティストではなく、一番良いものが一番売れるという「思想」を共有していましたが、

これは、SONYという個別の会社や、モトーラ個人に起こったことではなく、あの頃、世界中で、モノを作って売る時代が終わり、

ビジネスの最前線にいた、モトーラのような人物はもとより、アメリカでも、日本でも、雪崩を打つように時代は変わりました。

マライアへの友人としての正義感も、様々な圧力も不満も、間違いなくあったと思いますが、この頃のMJは、その程度の幼い正義感や、我がままで、SONYに抗議したのではないと思います。

90年代のMJは、メディアだけでなく、そういった時代からこぼれ落ちた人たちからのMJ批判も始まっていて、お金持ちMJの戦いは一般の共感を得られるものではありませんでしたし、社会的な行動として評価されることもありませんでしたが。。。

MJは、一貫して政治的な発言には慎重でしたが、その理由には、幼い頃から尊敬していたミケランジェロが政治活動から身を引いて、偉大な芸術家となったことをよく学んでいたことによるもので、音楽業界の最前線で長くトップであり続けた彼に、政治的センスがなかったと言うことは、ありえないと思っています。

振り返って見ると、MJはどの時代も、本当に厳しい道を歩んできたと思いますが、あの頃、彼が、本当にここまで「タフな男」だったことに、MJ以外は、誰も気がついていなかったし、彼自身も、そのことを「映画化」することはできなかった。

完璧なアルバムを何枚も創った後に『Invincible』では、そこから、更なる円熟と、未来をも見据えるという理想を、音造りでは形にすることが出来て、本当に、自分が「無敵」だということに確信がもてたけど、

MJの、MJによる、“Invincible”(無敵)で、“Unbreakable”(不死身)な男の映画化は難しいということに、彼は『Invincible』制作中、何度も考えて、気づいたんだと思います。

数多くの撮影や、SFでも様々な顔を見せてきたにも関わらず、作品(アルバム)の顔(ジャケット)には、あまりこだわっていないのも、

ミケランジェロが自画像を1枚も遺さなかったことと同じように、MJも「自画像」には、慎重だったからではないでしょうか



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今までのマイケルのショートフィルムを少しずつ混ぜたようなストーリーや台詞、踊り、イメージが展開されてゆくこの作品を初めて見た時、謎だらけだったので、勝手に『インヴィンシブル』から今後シングルカットされるショートフィルムで、どんどんここで暗示させた物語が進行していくのかな?」と予想していたのだが・・・。(DVD『VISION』完全生産限定盤“You Rock My World”の解説より)

連作というのは、流石、西寺さん!!! このSFで、最初に疑問だったのは、曲の内容と、SFの内容があっていないことだったんですが、連作なら、ありえるかもしれません。

元々、彼は、音楽PV以上の映像作品を創りたかったのですから、そういったアイデアは、構想としてあったように思います。

でも、

完成した“You Rock My World”の構成からは、ここから連作というのは、考えにくくて、納得できるようなSFを創るための予算も時間も「1作」だと悟ったMJが、ギリギリ妥協して創った「集大成」だから、曲のテーマに合っていなくて、2作目のシングルが、“Cry”に決定したときよりずっと前に、そのアイデアは終わっている可能性の方が高いように思えるんですね。

“Cry”のあと、リリースはされなかったものの、ラジオオンエアに選ばれた“Butterflies”など、MJは、このアルバムに関して、インタヴューで語っていた、気に入っている曲と、シングルカットされた曲が、悉く違っていますが、

"Unbreakable", "Speechless", "Lost Children"

それは、彼のヒット感覚が狂っていたのではなく、逆に、市場感覚も、レコード会社の思惑も、はっきりとわかっているからなんだと思うんです。(実際売れる曲を創っているわけですから)

深読みするならば、この曲でマイケルは、これまで自分が歩んできた歴史を振り返ってゆくが、争っている間にアクシデントからそのすべてに火が放たれてしまう。彼は親友と愛する女性だけを連れて、また別のステージへと進んでゆく・・・。(DVD『VISION』完全生産限定盤“You Rock My World”の解説より)

MJは、もう「一番良いものが、一番売れる」という偉業は、何度も達成していて、モノ造りの精神を忘れてしまったレコード会社に、これ以上所属する意味もなく、冒頭に3曲、挑戦的な曲を配し、SONYにも抗議することで「次のステージ」を考えていて、

『Invincible』制作中に、今後のアルバム発売や、芸能活動への支障も、経済的不安も、確実に計算して、「別のステージ」に移ったのではないかと、

『Invincible』を、何度も聴いていると、そう思えてなりません。

『Invincible』というタイトルも、“Unbreakable”のショートフィルムを創りたいと、何度も語ったことも、彼の「メッセージ」で、

それは、その言葉の意味と、その音楽が、これまでにない曲だという、2つの意味の「メッセージ」だったんじゃないかと思うのですが、、、

☆マイケル・ジャクソンの顔について(26)につづく

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by yomodalite | 2011-05-30 22:24 | マイケルの顔について | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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