少女には向かない職業/桜庭一樹

f0134963_16503484.jpg
《プロローグ》

中学二年生の一年間で、あたし、大西葵十三歳は、

人をふたり殺した。

夏休みにひとり。それと、冬休みにもうひとり。

武器はひとつめのときは悪意で、

もうひとつめのときはバトルアックスだった。

それであたしが思ったのは、殺人者というのは

つくづく、少女には向かない職業だということだ。


読書ブログを始めた頃は、1日1冊読書して行く予定で、もちろん、小説もがっつり読んで行く予定だったんですが、振り返ってみると、これ以前に小説を記録したのは、去年の7月の『メタボロ』 以来。。。

そんなわけで、すでに高い評価を得ている、人気作家の傑作の感想を書くことに、なんだか緊張してしまいそうなんですが....桜庭氏に関しては、作品に出会う前に、氏の『読書日記』を読んで、まず、人間「桜庭一樹」に惹き付けられてしまったのですが、実際、作品を読んでみたら、ますます好きになってしまいました。

本書はノベライズでデヴューし、ライトノベルで人気を得た桜庭氏の最初の一般文学作品で、氏が10代の少女を描くことで人気を得てきたことがよくわかる「中二女子」の瑞々しい物語に、叙述ミステリを掛け合わせた、とてもとても、よく出来た作品。

わたしには、このタイトルが『女には向かない職業』が元ネタであることぐらいしか、わかりませんが、そちらをシリーズではなく「1冊」として読んだ記憶では、本書の方がチャーミングな作品に思えました。

主人公の大西葵は、田舎町には相応しくない美人の母と、父が5歳で亡くなった後に再婚した、現在は、足を痛め、仕事ができなくなってしまった元漁師の義父と暮らしている。

宮ノ下静香は、島でいちばんのお金持ちの孫娘で、学校ではメタルフレームの眼鏡に、セミロングの黒髪の図書委員。でも帰宅後は、つま先に大きな銀色の十字架が飾られているピカピカした靴に、白と黒の横じまのニーソックス、黒いレースがひらひらしている日傘みたいにまぁるくふくらんだスカートのゴスロリ少女。

ふたりの少女には、それぞれ「殺したい」相手がいて。。。


第一章/用意するのはすりこぎと菜種油です、と静香は言った
第二章/What's your poison?
第三章/宮ノ下静香の告白
第四章/用意するものは冷凍マグロと噂好きのおばさんです、と静香は言った
終 章/用意するものはバトルアックスと殺意です、と静香は言った


『桜庭一樹読書日記 ー 少年になり、本を買うのだ』には、本書の出版社である東京創元社の本や、その出版社の編集者が好きそうな系統の本が、たくさん紹介されていて、巻末掲載の出版社既刊本を何にするかという話題もありましたが、本書で実際にそれらを見ると、本当に「本を買う」ことだけでなく、あらゆるところで、きっちりと「恩返し」をされてきている方なんだなぁと思いました。

☆本書の巻末に宣伝掲載されている本
・薔薇の名前《上・下》/ウンベルト・エーコ
・ジョン・ランプリエールの辞書/ローレンス・ノーフォーク
・驚異の発明家の形見箱/アレン・カーズワイル
・形見函と王妃の時計/アレン・カーズワイル
・肩甲骨は翼のなごり/デイヴィッド・アーモンド
・闇の底のシルキー/デイヴィッド・アーモンド


◎『少女には向かない職業』 (創元推理文庫) /桜庭一樹
◎『女には向かない職業』 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
_________________

[BOOKデータベース]島の夏を、美しい、とふいにあたしは思う―強くなりたいな。強くて優しい大人になりたい。力がほしい。でも、どうしたらいいのかな。これは、ふたりの少女の凄絶な“闘い”の記録。

[MARCデータベース]中学2年生の1年間で、あたし、大西葵13歳は、人をふたり殺した-。これは、ふたりの少女の、血の噴き出すような闘いの記録。痛切なストーリーが胸を抉る衝撃作。

単行本/東京創元社 (2005/9/22)
文庫版/東京創元社 (2007/12)





[PR]
トラックバックURL : http://nikkidoku.exblog.jp/tb/15601683
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by yomodalite | 2011-03-03 17:02 | 文学 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


by yomodalite