A3/森達也

A3【エー・スリー】

森 達也/集英社インターナショナル




森達也氏に関しては、2006年に読んだ 『東京番外地』、2007年に読んだ『日本国憲法』から、すっかり興味を失っていたので、本書にはすぐに興味を持てませんでした。森氏は、すっかり「偽善系」の人になってしまったと思っていたんです。でも本書を読み出して、すぐにそれが大きな間違いだったことに気づきました。

『A』を観たひと、『A2』を読んだひとは、絶対にこの『A3』も読んだ方がいい。『A3』は、過去作の遥かに上を行く、森氏の最高傑作だと思いました。

まだ、どの作品にも触れていない方でも、オウム事件のことを覚えているなら、今からでも観て、読んだ方がいいと思う。

森氏は「プロローグ」で本書のことを、

かつて『A』と『A2』を発表したとき、タイトルの意味についてよく質問された。主要な被写体である荒木浩広報部長(当時)のイニシャルのAでもあるし、オウム(AUM)のAでもある。あるいは煩悶(Agony)や反命題(Antithese)もうひとつの代案(Alternative)などのAでもある。などと答えるときもあったけれど、実のところ自分でも、この答えに納得はしていなかった。なぜなら本音は「タイトルなどどうでもいい」なのだ。(中略)

でも、今回の『A3』は違う。意味を込めた。内容を凝縮した。麻原彰晃のAだ。


と述べています。

自分が良いと思うと、すぐ薦めたくなる質なんだけど、、、この本は今までとは比べようがないぐらい必読本だと思う。その最大の理由は、ここに書かれていることは、この本にしか、書かれていないし、今後追随する人もいないと思われるからです。

また、オウム本に関しては1番最近読んだ元アーレフ代表、野田成人氏の『革命か戦争か』のコメント欄でも「オウム タグ」には、お薦め本はないと言っているのですが(『A』に関しては、記録していたことを忘れていましたため。これは良書)本書を、それらに比べて評価するのは、著者がこの1冊に込めた「熱意」が、本の厚み以上に深く感じられるからで、事件の真実、登場人物の描写に関しての同意によるものではありません。

この本を読んでいると、今、小沢一郎やマイケル・ジャクソンを擁護することが、どんなに「楽」で、「安全」かということを思い知らされる。

未曾有の被害者を生んだ犯罪者の本に、上記のふたりを思い出すことに、違和感を覚えたひと、ごめんなさい。

多分、それは、わたしの現在の「ビョーキ」とも言えるMJ好きによるところが大きいとは思うけど、もうひとつだけ理由を考えると、それは、著者の90年代の捉え方に共感を覚えたからだと思う。

マイケルが亡くなったとき、わたしは悲しいという気持ちより「しまった。。」と思い、しばらくして、彼を拒絶した時代のことが、1番心に突き刺ささりました。

森氏は本書で、何度か95年、96年といった、オウムによる時代の文節点を挙げています。

あの事件だけでなく、90年代からを振替える時代のドキュメンタリーとして、
アマゾン評にある「ノンフィクション史上に残る傑作!」に完全同意します。

☆本書の講談社ノンフィクション賞受賞への滝本弁護士による抗議文

◎『A3』(アマゾン)
◎A(DVD)
◎A ー マスコミが報道しなかったオウムの素顔(角川文庫)
◎A2(ドキュメンタリー映画「A」の続編「A2」の撮影日誌)

☆現在は「ひかりの輪」の代表、上祐氏の近況↓
◎上祐史浩×ターザン山本×吉田豪×プチ鹿島の『新春時事放談』
◎上祐史浩氏のオフ会に参加・国松長官事件・村井刺殺事件を聞く
_______________

[内容紹介]なぜ「あの事件」から目をそむけるのか?「何でもいいから、早く吊るせ!」。それが大半の日本人の本音なのか。真相究明なしに「事件」は葬り去られようとしている。『A』『A2』の作者が、新しい視座で「オウム事件」と「日本人」の本質に迫る!

[BOOKデータベース]何か変だよな。おそらく誰もがそう思っている。でも抗えない。多くの謎と副作用ばかりをこの社会に残しながら、急激に風化されつつある一連の「オウム事件」。何も解明されないまま、教祖と幹部信者たちの死刑は確定した―。麻原彰晃の足跡を、新しい視点からもう一度辿る。浮かび上がるのは、現代日本の深層。
集英社インターナショナル (2010/11/26)


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by yomodalite | 2011-01-30 12:23 | 報道・ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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