武道的思考/内田樹 ほか・・

誰が日本を支配するのか!?検察と正義の巻

佐藤 優責任(編集),魚住 昭責任(編集)/マガジンハウス



映像夜間中学講義録 イエスタディ・ネヴァー・ノウズ(DVD付)

根本敬/K&Bパブリッシャーズ



ドリアン・グレイの肖像 (光文社古典新訳文庫)

ワイルド/光文社



脳と日本人 (文春文庫)

茂木 健一郎,松岡 正剛/文藝春秋




12月は上記の本たちに、すごく心を動かされていたのですけど、ブログには書けませんでした。

『脳と日本人』は、どこをチョイスしたらいいか、わからないぐらい刺激的な箇所が多過ぎて、『夜間中学』にもお世話になって、すっかり生徒気分だったり、オスカー・ワイルドは、『古典を読みなおすぞ!』シリーズの手始めとして、ついでに、MJと、オスカー・ワイルドと、エドガー・アラン・ポーについてだらだら書きたいという野望もあったんだけど・・MJに関しては、ニューアルバムのせいで、それどころじゃなかったり・・(それにしても、まさか『VISION』を買うとは思わなかったなぁ....しかも国内版で)


武道的思考 (筑摩選書)

内田 樹/筑摩書房



下記は、内田樹氏の著書についてのメモ。

第二章 武道的心得より

真の賢者は恐ろしいほどに頭がいいので、他の人がわからないことがすらすらわかるばかりか、自分がわかるはずがないこと(それについてそれまで一度も勉強したこともないし、興味をもったことさえないこと)についても、「あ、それはね」といきなりわかってしまう。

だから、自分でも「ぎくり」とするはずなのである。何でわかっちゃうんだろう。そして、どうやらわれわれの知性というのは「二重底」になっているらしいということに思い至る。

私たちは自分の知らないことを知っている。自分が知っていることについても、どうしてそれを知っているのかを知らない。(中略)

それは、解答するに先立って、私たちの知性の暗黙の次元がそれを「先駆的に解いている」からである。


以前、他人の技を批判してはいけない、と多田先生に教えていただいたことがある。「どうして他人の技を批判してはいけないのですか」と先生にお訊ねしたら、先生は「他人の技を批判しても、自分の技がうまくなるわけではないからだ」と答えられた。そして、「批判して上達するなら、俺だって一日中他人の技を批判しているよ」と破顔一笑されたのである。


「自分のような人間は自分だけである方が自己利益は多い」という考えを現代人の多くは採用している。「オリジナリティ」とか「知的所有権」とか『自分探しの旅」とかいうのはそういうイデオロギーの副産物である。けれども「オリジナルであること」に過大な意味を賦与する人たちは、そのようにして「私のような人間はこの世にできるだけいない方がいい」という呪いを自分自身かけていることを忘れている。

「私のような人間ばかりの世界」で暮らしても「平気」であるように、できれば「そうであったらたいへん快適」であるように自己形成すること、それが「倫理」の究極的な要請だと私は思う。

「世界が私のような人間ばかりだったらいいな」というのが人間が自分自身に与えることのできる最大の祝福である。

でも、これはむずかしい課題である。

ふつうに人は「世界が私のような人間ばかりだったら」気が狂ってしまうからである。他者のいない世界に人間は耐えられない。だから、論理的に考えれば、「私のような人間ばかりでも平気な私」とは「一人の人間の中に多数の他者がごちゃごちゃと混在している人間」だということになる。

一人の人間の中に老人も幼児も、お兄ちゃんもおばさんも、道学者も卑劣漢も、賢者も愚者も、ごちゃごちゃ併存している人間にとってのみ、「自分みたいな人間ばかりでも世界はけっこうにぎやかで風通しがいい」と観じられる。

倫理的とはそういうことだと私は思う。

つねに遵法的で、つねに政治的に正しく、つねに自己を犠牲にして他人のために尽くし、つねににこやかにほほえんでいる人間のことを「倫理的」だと思っているひとがいるが、それは違う。

だって、そんな人で世界が充満していたら私たちはたちまち気が狂ってしまうからだ(少なくとも、私は狂う)だから、「そんな人間」は「倫理的」ではない。「倫理」というのは、字義どおりには「集団を成立たせる理法」のことである。

(引用終了。でも、このあとも重要な文章が続きます)

嫌になるほど、ためになることがてんこもりで、困ってしまう名著。

☆☆☆☆☆(満点)

[目次]
第1章 武道とは何か?
第2章 武道家的心得
第3章 武道の心・技・体
第4章 武士のエートス
第5章 二十一世紀的海国兵談
あとがき 「武道的」ということ

(本書のことを、ブログ掲載の文章から、武道的文脈を編集、加筆したから、とりとめがないとか言うような「バカ」なひとは、わたしの周囲に来ないで!っていう「呪い」をかけておこうっと。そういう「呪い」は、かけてもいいって書いてなかったかな? あれ、逆だったかな.....)
________________

[内容紹介]「いのちがけ」の事態を想定し、高度な殺傷術として洗練されてきた日本の武道。幕末以来、武道はさまざまな歴史的淘汰にさらされ、それに耐え、そのつど「変身」を遂げつつ生き延びてきた。本来の意味は失われても、「心身の感知能力を高め、潜在可能性を開花させるための技法の体系」である武道には、今こそ見るべき叡智が満ちている。──読めば読むほど気持ちがシャキッとして丸くなる、達見の武道論。筑摩書房 (2010/10/15)


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Commented by mari-ko at 2010-12-26 14:47 x
ギャ~、何ですか、この素敵な、え~と、え~と、、メモ?(笑)
本の内容から、yomodaliteさんのポリシーまで突っ込みどころ満載で、どこを突っ込んでいいかわかりません!

私の尊敬する人は、本当に人の「技」を否定しません。自分の「技」を自分で信頼しているから、否定すると自分の「技」を否定するからかなと、思ってます。
本、読んでみます!
Commented by yomodalite at 2010-12-26 16:15
ギャー、まさか、こんな素敵なコメントが来るなんて===♡♡♡

わたしのポリシーに突っ込まれても困るけど(笑)、でも、内田先生は、女子大で武道を教えることに、深い意味を見いだしている方だし、年頭に読むと、武道に一切興味もなければ、護身術も別にいいよっていうような女子でも、うっかり合気道道場に入門しそうになるような「いいこと」が一杯書いてあって、そこんところも、ホント困っちゃうんだよねぇ(笑)

内田先生は、学校教育に、武道が必修科目として取入れられることになったことには、異議を唱えているんだけど、幸田露伴の知恵が、ずっと「女」によって、受け継がれていたり、その時代の主流ではない「思想」ていうのは、意外と、女の方に、深くも多くも「伝承」されるものだったりして。。。
Commented by yomodalite at 2010-12-26 20:58
まるっきり関係ない、自己レスなんだけど、スヌープドッグと言えば、大好きなスヌーピーにそっくり?で、もっとも好きな「顔」のラッパーなんだけど、その彼が、これまた、大好きな「さかなくん」のことを?!っていうニュース↓

ていうか、『“Sakana-kun” headwear』って。。さかなくん、もう海外でも話題になってたの??

http://rocketnews24.com/?p=61890

あと、内田先生、今日のブログでも、めちゃめちゃ「いいこと」言ってるなぁ。。。

「才能の枯渇について」http://blog.tatsuru.com/
Commented by yutakarlson at 2010-12-27 11:41 x
【内田樹の研究室】才能の枯渇について―【私の補足】利他的な動機から本当の知恵が生まれてくる!!

ブログ名:「Funny Restaurant 犬とレストランとイタリア料理」

こんにちは。私は、神戸女学院の内田先生が、公表しておられる、「内田樹の研究室」というブログは時々参照させていただいています。このブログで最近、「才能の枯渇」という記事が掲載されていました。私は、この記事に啓発され、この記事の内容を強化する意味での補足を自分のブログに掲載しました。その補足の結論は、『誰もが自分のためにだけものを考えていたのでは、限界があるということです。しかし、利他的に物を考えたときに、それまでの思考段階を突破し、統合的思考の段階に到達し、その限界を突破することができるということです』というものです。詳細は、是非私のブログを御覧になってください。
Commented by yomodalite at 2010-12-27 13:10
yutakarlsonさん、コメントとブログの紹介ありがとうございました。

わたしは、内田氏のクリエイティヴ・ライティングの授業が、どのようなものなのかは存じないのですが、

内田氏が言われる「才能の枯渇」は、天賦の才能(なんだか知らないけれど、できちゃうこと)に力点があることが、いわゆる、クリエイティブ・シンキング(=科学的思考によるポジティブ・シンキングと受取りました)思考とは、異なる「味わい」で「面白い」と思いました。

yutakarlsonさんにではなく、わたしのブログ読者へのメッセージですが、この下で紹介した『日本のタブー』に「ポジティブ」という項目があります。
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by yomodalite | 2010-12-26 12:40 | 宗教・哲学・思想 | Trackback | Comments(5)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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