映画『座頭市』(1989年) 監督・脚本・主演:勝新太郎

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◎Zatoichi - Darkness Is His Ally


時代劇チャンネルの劇場版『座頭市』全26作品完全放送のファイナルで、1989年の『座頭市』を観ました。

前作『笠間の血祭り』から16年後に創られた、この作品は、勝新による『座頭市』のラスト作品。これまでの作品と違い、この作品の公開時は、一応大人だったんですが、当時はまったく興味がありませんでしたし、また、その後に、ときどき興味を持って観てきたシリーズ作品とも、まったく違っていました。

どれほど感動したか、表現できないほどなんですが、今まで、それに気づかなかったことも悔しかったり、とにかくもう、勝新太郎と座頭市に、心を奪われてしまって、ホント困ってます(笑)




f0134963_1251911.jpgドラマの最終回とかシリーズ最終作とか、遺作とかって、これまでの感動に比べると、なんか難しいというか、著名な映画監督でも、最後の作品が、一番いいなんていう例はあまりないと思います。

でも、この『座頭市』は、勝新太郎にとって役者としても、監督としても、脚本づくりの部分においても「最高傑作」でいいんじゃないでしょうか。(←全作品観てませんけど....)


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当時、まったく興味がなかった作品ですが、撮影時に起きた、不幸な事故(勝新の息子でもある俳優の奥村雄大が、助監督から間違って渡された“真剣”により、役者の1人が死亡する)のことは、作品の評判よりも話題になっていて、そのせいで公開が危ぶまれたことは、なんとなく覚えているのですが、観終わって、本当に、これが当時報道されていた、あの「作品」とは、信じられませんでした。

春日太一氏の『天才 勝新太郎』によれば、この作品はヒットしたらしいのですが、わたしの朧げな記憶では、本当にその作品に値するような「評価」は受けていなかったように思います。また、マリファナとコカイン所持により、逮捕されるのは、この1年後....


f0134963_12543360.jpg当時、わたしにとっては、黒澤も、勝新太郎も、すでに「伝説」の人で、20歳ほど年長の人たちによく「黒澤映画を観ろ」と言われてましたが、勝新のスゴさと『座頭市』について、熱く語られたことはありませんでしたし、勝氏が『影武者』(1980年)を降板したという報道も、当時すごく話題になっていて(その『影武者』を観たのも、ずっと後になってからでしたが、春日氏の本にある「降板」エピソードはこれを観るとすごく納得できました)、勝新太郎は、最後の映画スターというべき「キャラ」で、有名人でしたが、それは、まさしく「時代」と、ズレていることの証明のようでもありました。


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でも、2004年に発売になったDVDも、2010年まで、ずっとコメントが続いていて、ようやく、あの頃の勝新に、時代が追いつきつつあるようです。

こちらの絶賛コメントと、できるだけ、かぶらないことのみ書いておこうと思いますが

まず、樋口可南子とのSEXシーンは、かなりの名場面です。このシーンは、映画史上に遺るSEXシーンとして、個人的にはベスト5ぐらいに入れてもいいかも。(←相当、個人的な意見です。期待して見るとがっかりするので注意してね)


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このとき、女渡世人である、彼女は、

「どんなことがあっても、渡世......筋目は通さなくちゃならない......女でも......命をかけて.......渡世の筋目を通して...いくぅぅーーーー」

と言って、イクのだ。(書き方が悪いんだと思うけど、ここは笑うところじゃなくて、泣きどころね!!!。樋口可南子は、いつもイイ脱ぎ方をしているなぁ....)

それと、2003年のたけしの映画は、この89年版の後を継いだように感じました。


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たけしの『座頭市』にも、あんなのは時代劇じゃないというような意見もあったようですし、たけし作品は、本作より、ずっと新しい感覚の作品だと思われているかもしれませんが、わたしの印象ではそうでもなくて、

たけし作品の特徴である、音楽に関しても、このラスト作は、今までの伊福部昭〜村井邦彦・宮本光雄とは、また異なった、勝新独自のこだわりが見られます。

たけしも音楽には、相当こだわりがありますけど、勝新太郎は、自身も長唄と三味線の名取りで、当代きっての目利きであった、作家・有吉佐和子に、勝新の映画界デビューは、邦楽界の重大な損失とまで言われたほどの、一流ミュージシャンですし、座頭市という、盲人役としても「音」に対して鋭い感覚をもってきたと思うんです。


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で、そんな勝新の「音」の面でも、やっぱり、この映画は、ものすごく面白くて、たけしの映画のように、全編に「音楽」が流れているような感じではなくて、

長唄という“語り部”の調べというか、三味線という、ベースとギターが一緒になっているような楽器の演奏者らしい、リズムが効いた「音」が魅力的で、サントラで買って、ヘッドフォンでじっくり聴いてみたいような「音」なんですね。

また、メインテーマは、エンドクレジットによれば「THE LONER」という曲らしく、歌っているのは「JOHNNY」作詞:Mike Dunn、作曲:EDISONで、ALL MUSIC:EDISONなんですがWikipediaなどの情報では、音楽:渡辺敬之とあって、そこはよくわかりません。


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ただ、歌っている「JOHNNY」は、出演者でもある、ジョー山中の変名という説もありますが、内田裕也人脈の、ジョー山中が「JOHNNY」という名前は使わないんじゃないかと思うんです。

そんなに自信があるわけではないんですけど、これは、ジョニー、ルイス&チャー(ピンク・クラウド)の、天才ドラマー、ジョニー吉長ではないでしょうか?

ジョニー吉長氏への再評価も高まっているようですね。

☆ときどき現れる帽子をかぶったカッコいい人が吉長氏
◎NATURE LIVING「Shadow Of Truth」  

☆通常ボーカルはチャーなんですが、このときはジョニー吉長が歌ってます
◎PINK CLOUD - Baby You're Mine (Live, 1988)

わたしは、この一作で考えるなら、映画監督としても、勝新太郎は、今や世界的にも評価の高い、北野武を超えているんじゃないかと思いました。


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ただ、「座頭市」は、勝新以外にはありえないという意見には、まったく同感なんですけど、でも、そんなことは、ファンに言われなくったって、たけしだって阪本順治監督だって、よくわかっているし、どんなに一生懸命やったって超えられない「壁」の高さは、彼らの方がよくわかってる。

それでも、、「でも、やるんだよ!」(by:根本敬)

という、仁義と筋目を通せる、渡世人の存在が「レガシー」を受け継いでいくんだと思います。

香取慎吾の『座頭市』に対して、ジャニタレが....とか言うような人が、バカタレなんじゃないかと思うので、阪本作品や、綾瀬はるか主演の「座頭市」も、絶対観なくちゃと思いましたし、この映画の前に創っていた、TVシリーズの「新・座頭市」も全部観たいです!!!

座頭市の重要な魅力のひとつである、勝新にしか書けない“言葉”も、子供への愛や、母への想い、一番強い者が、一番優しいというメッセージ、闘う意味(血が嫌いなのに....)、そして、赤い色へのこだわり、ビジュアルセンスの素晴らしさ、音の感覚....自分を愛してくれているファンに、中途半端なものは、見せられないという「勝新」というアイコンへの強い想い、とてつもないサービス精神と、こどもっぽさ....なんだか、勝新が、マイケルそっくりに思えてきてるんですが。。。(笑)

そんなわけで、とにかく『座頭市』に夢中になってます!!!!!!

◎勝新演出を語る、石橋連司

あと、まったく関係ありませんが、、

☆数日前に、R.KellyがTVに出演したときの映像
◎R. Kelly & The Roots Perform “Ignition (Remix)”+“Step in the Name of Love”

やっぱり、日本だけじゃなく、‘You Are Not Alone’ 出すのかな?
◎R. Kelly – ‘You Are Not Alone’ (Michael Jackson Cover)

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f0134963_13253167.jpg監督・脚本:
勝新太郎(1931.11.29)

出演:
勝新太郎
樋口可南子(1958.12.13)
緒形拳(1937.7.20)
陣内孝則(1958.8.12)
片岡鶴太郎(1954.12.21)
奥村雄大(1964.8.9)
三木のり平(1924.4.11)
内田裕也(1939.11.17)
草野とよ実 ほか

[内容紹介]牢屋を出たばかりの座頭市(勝新太郎)は、漁師の儀助(三木のり平)の家にやっかいになっていた。その漁村では、跡目を継いだばかりの五右衛門(奥村雄大、現・雁龍太郎)が、宿場一体を取り仕切るため八州取締役(陣内孝則)に取り入ろうとしていた。五右衛門一家の賭場で大勝ちした市は、一家に取り囲まれるが、女親分のおはん(樋口可南子)がその場を治める。市は帰り道、一家の刺客に襲われるが、得意の居合い斬りで片付けた。そんな市を五右衛門一家と対立関係にある赤兵衛(内田裕也)は、用心棒として雇う。一方、五右衛門一家が用心棒として雇い入れた浪人(緒形拳)は、かつて市が旅先で知り合い、絵を教えてもらうなど交流を持った人物であった。

☆勝新太郎の人気を決定づけた「座頭市」。居合い斬りの得意な按摩・座頭市と五右衛門一家との戦いを描く。映画版は1962年「座頭市物語」を皮切りに本作まで全26作品が製作された。勝は主演のみならず、脚本と監督も手がけ、即興性に飛んだストーリーや、役者の生の息吹を感じさせるような繊細な演出などで、"勝新"ならではの強烈な世界を作り上げた。また座頭市には欠かせない、仕込杖の居合い斬りもブランクを感じさせないどころか、シリーズの中でも五指に入る迫力だ。





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Commented by pyt at 2010-12-10 22:14 x
ここんとこ「時専」(時代劇専門チャンネルの略称ね)から来るメルマガを、読まずに削除してたので(爆)勝新祭り知らなかった~。なので『笠間の血祭り』をとりあえず録画したけど、まだ見てないっす。

座頭市シリーズは、昔何本か見た事あるんだけど、で、yomodaliteさんに聞きたいのは、斬さまの時と、どっちが大波キテるのっ??

じゃ、あさって録画する「いくぅぅーーーー」を見てからまたコメントしまーーーーす(←ホントか???・笑)

ケリーの “Ignition”ありがとう!!!私は念のため、国内盤の方に予約変更しちゃった。
Commented by yomodalite at 2010-12-10 22:33
斬さまのことを考えると、胸が苦しくなるけど、、、でも、市さんへの想いとは、比べようがないの。。。

だって、「市」キャラだけでも、死にそうなんだけど、その向こうには勝新がいて、そこには、監督、脚本家、音楽家に加えて、今読んでる『俺、勝新太郎』も、どうかなりそうなほど、面白いんだもん!
でも、pytさん向けじゃないかも。。。

「いくぅぅーーー」はマジだけど、あそこで感動できるのは、わたしだけかな(笑)
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by yomodalite | 2010-12-10 13:31 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(2)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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