映画 新座頭市物語『笠間の血祭り』(1973年)

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◎Zatoichi 25 - Zatoichi's Conspiracy (1974)

時代劇チャンネルの劇場版『座頭市』全26作品完全放送のファイナルで、1973年の『笠間の血祭り』を観ました。

このファイナルの3作品だけを観ると、’73年の『笠間の血祭り』が少し違った印象なんですが、それは、この作品だけが、勝新が監督ではないからなんですね。ただし、一般的な『座頭市』ファンにとっては、これが一番『座頭市』ぽくて、ストーリ−的にも、スカッとする要素が強い、エンターテイメント作品のようです。



f0134963_10512070.jpgシリーズ第25作目になる本作で「座頭市」は一旦幕をおろすことになったのですが、その理由は、前作『折れた杖』は、毎回、同じ味を求めるようなタイプには、あまり評判が良くなかったからではないでしょうか。

それで、そういう観客のために、もう一度わかりやすい「座頭市」を復活させたのが『笠間の血祭り』だと思います(と、ちょっぴり毒づいてみましたが、この作品がキライなわけではないです)

f0134963_10565030.jpg『折れた杖』は、血があまり出ないことが、わたしにとって「魅力」だったんですが、今回は容赦なく、悪人を斬りまくってますね。

ただ、勝新もわかっていたことだと思いますが、ヤクザに虐げられる庶民、そして、そのヤクザを訴えようとしてもヤクザから、さらに上前をハネたり、利用することにしか興味のない役人といった「悪人」の構図は、今も昔も同じなんですが、座頭市が“斬る”理由も、その強さと優しさも、真摯に考え続ける創作者の苦しみは与えられているだけの観客には伝わらず、観客は「同じもの」を与えられると厭きたと思い、違うものを与えられると「これじゃない」と思うんですよね。。。

f0134963_1144141.jpg創作者にとっても、観客にとっても、幸せな「作品数」ってあると思うんですが、日本の創作者たちは、死ぬまで創り続けるという道を歩む方が多いようです。

'73年という時代はまだ完全にこどもだったので、この時代と「座頭市」との関係はわかりませんが、これ以降はTVに移ったようなので、映画の時代が終わったということが一番の理由なのかもしれません。

今から、過去に溯って、勝新が若いときからの「座頭市」を順番どおりに、追体験したときの感想はわかりませんが「座頭市」の魅力的なキャラクターを知ることができるビギナー向けの作品だと思いました。

あくまでも、3作観終わってからの感想ですが、本作の脚本は、女性で、そのせいなのか、座頭市のセリフが、少し勝新ぽくないというか、これまでのように脚本家をイジメられなかったのかな(笑)という感じがしました。

また、この作品の悪役、岡田英二は、ヌーベルヴァーグの傑作『24時間の情事』で国際的にも活躍した二枚目俳優で、佐藤慶も、とにかく知的な印象の人。ビジネスマンと官僚の2人が共にすごく洗練された雰囲気なので、例え、ちょんまげであっても、イ×××ティな雰囲気が良いですね。

◎新座頭市物語『笠間の血祭り』 [DVD]
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f0134963_11104686.jpg監督:
安田公義(1911年2月15日)
原作:
子母沢寛(1892年2月1日)
脚本:
服部佳子
音楽:
伊福部昭(1914年5月31日)

出演:勝新太郎
十朱幸代(1942年11月23日)
岡田英次(1920年6月13日)
佐藤慶(1928年12月21日)
志村喬(1905年3月12日)
遠藤辰雄(1928年1月30日)
土屋嘉男(1927年5月18日)
横山リエ(1948年4月9日)他

[内容紹介]
市(勝新太郎)は育ての母・おしげをたずねて、故郷の笠間を目指していた。道中、幼馴染で、今は江戸の米問屋になっている常陸屋新兵衛(岡田英次)と出会う。新兵衛は凶作続きの故郷の人々を救うため、千両箱をみやげに訪れ、名主総代の庄兵衛(土屋嘉男)ら村人たちに大歓迎を受けるが、実は笠間の御影石の採掘権を狙っていたのだった。市は育ての母の家をたずねるが、おみよ(十朱幸代)という娘からすでに亡くなっていることを聞かされた。市は、悪徳代官・林田権右衛門(佐藤慶)と手を組んだ新兵衛の悪事を止めようとするが、新兵衛の手下がおみよの祖父・作兵衛(志村喬)を殺害し、おみよをさらう。市は、新兵衛の宿に乗り込んでおみよを助け、新兵衛や代官を皆殺しする……。

☆これにていったん幕をおろすことになったシリーズ第25作で監督はシリーズ最多登板となった安田公義。ロケーションは実際に笠間市で行われた。悪役を演じた岡田英次、佐藤慶が好演。
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Commented by pyt at 2010-12-11 15:56 x
見たよ~。
うんうん、面白かった!!オヤジ好きのyomodaliteさん(笑)こりゃハマるのムリもないって思ったもん(笑)いやいや、勝新に「オトコ」を感じるとは思わなかった(笑)

そして、時代劇にとって本当の意味で良き時代の「痛快時代劇作品」でした。やっぱり、「フィルム」作品はいいです。 “鈴の音”の使い方が、私が思っていたことと違っていたことが興味深かったかな。

勝新という「時代劇役者」として印象に残っているシーンがあって、、。謙さんの大出世作♡「独眼竜政宗」。勝新は秀吉役で、秀吉と政宗が、小田原城で初対面を果たすという場面。秀吉の尋常なる威圧感で、“素”で借りてきた猫のような謙さん。画面を見ているこっちも、ははぁ~と土下座しそうになりそうだったわ(笑)実際の現場でも、凍り付いたであろうと思われたもの凄いリアル感。このシーン、凄くよく覚えてるのよ~。

こりゃ「いくぅぅーーーー」の回(←しつこい)も楽しみだ~♪

「時代劇脳」になってきたので斬さまでも2・3本見てくる==ヘ(*゚∇゚)ノ
Commented by yomodalite at 2010-12-11 21:17
楽しんでもらえたのは嬉しいです♡

>秀吉の尋常なる威圧感で、“素”で借りてきた猫のような謙さん....

この場面のことは『天才・勝新太郎』でも紹介されてた。リハと全然違ってて、謙さま、本番でマジ、ビビったみたい。

あと、わたしは、オヤジ好きじゃないし、時代劇にも大河ドラマにも興味ないので「時代劇脳」になんてなりたくない(笑)ってところは、別エントリで、そのうち書くね♡
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by yomodalite | 2010-12-09 11:16 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(2)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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