映画 新座頭市物語『折れた杖』(1972年)

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Zatoichi 24 - Zatoichi in Desperation (1973)




1ヵ月ほど前に『天才 勝新太郎』を読んだとき、

勝新太郎は、決して才能を開花しきったとは言えない「天才」だった。

と書いていたんですが、

『座頭市』のラスト3作品を時代劇チャンネルの劇場版『座頭市』全26作品完全放送のファイナルで観て、これを撤回しようかどうか迷っています。

晩年の勝新太郎は、借金、薬物所持、撮影中の事故、様々なトラブルもあり、『座頭市』は、その量産体制から、映画としてのクオリティは追求出来なかったんだと思っていました。でも、よくよく考えてみると、私は、勝新作品として『悪名』も『兵隊やくざ』も『座頭市』も、それぞれ、数本ぐらいしか観ていませんでした。

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『座頭市』は、TVシリーズも、映画も何本も創られている、大衆エンターテイメント作品ですから「映画作品」として、本当にレベルの高い作品は創られることはなく、彼の頭の中には、素晴らしい“映画” があったとは思いますが、作品としては完成できなかったんじゃないかと、勝手に思いこんでいたんですね。

本当に、とんでもない誤解だったかもしれません。

『天才 勝新太郎』で、映画監督・勝新太郎を初めて意識して、彼の初めての監督作品(TVでは経験済)である『折れた杖』は、ものすごく期待して、観たんですけど、それでも期待を裏切られることは、まったくありませんでした。

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一番好きな映画監督として、デヴィッド・リンチを真っ先に挙げる私としては、この映画は、初めて『イレイザー・ヘッド』を観たときに近いような衝撃で、盲目のひと、座頭市の視点と感覚をなんとか、映像にしようとする、映画監督としての勝新にシビレまくり、過去の作品の記憶が薄く、もういちど始めから出会いたいと思っていた『座頭市』を、この作品から観れたことは、わたしにとって、すごくラッキーでした。

見終わってから、調べてみると、この作品は、日本でも、海外でも、それほど評判がよくないというか、シリーズの中では、異色作であり、難解な作品という感想を持っている人が多いようです。(注:2010/05/28に発売になったDVDでは、当時の評判とは異なり絶賛コメントが多い?)

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わたしは、今回の放送により、初めて“座頭市”に出会って、まだ、『折れた杖』('72)『笠間の血祭り』('73)『座頭市』('89)しか、観ていませんが、確かに、この作品は、殺陣場面が少ないだけでなく、血もあまり出ないし、冒頭の老婆のアクシデントなど座頭市が、悪を斬りまくって、スカッとするという、ヒーローエンターテイメントには、ありえないストーリーかもしれません。

でも、わたしと同じように、これから“座頭市”に出会いたい人には、とても興味深い作品だと思います。

◎新座頭市物語『折れた杖』 [DVD]


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原作:子母沢寛
製作・監督:勝新太郎
脚本:犬塚稔(※実質的には脚本も勝新)
音楽:村井邦彦・宮本光雄

出演/勝新太郎(1931年11月29日)/太地喜和子(1943年12月2日)/中村賀津雄(1938年4月23日)/吉沢京子(1954年3月2日)/小池朝雄(1931年3月18日)/大滝秀治(1925年6月6日)/春川ますみ(1935年11月16日)

[あらすじ]
山中の吊り橋の上で、三味線を弾く老婆(伏見直江)におひねりを払おうとした市(勝新太郎)だったが、老婆は足を踏み外して川に落ちて死んだ。老婆の娘に、形見の三味線を届けるため、市は銚子の宿、飯沼観音裏の花街で、ようやく老婆の娘・錦木(太地喜和子)という女郎を見つけ出す。市はやくざの鍵屋万五郎(小池朝雄)の賭場で稼いだ金で、錦木を身請けし、町外れのあばら家で共に暮らすようになる。悪徳商人・安房屋徳次郎(青山良彦)と手を組む万五郎は、漁師たちを無理矢理賭場へ誘い、金や船を巻き上げ、港の実権を一手に握ろうとしていた。さらに万五郎は、大親分・飯岡助五郎(大滝秀治)が市の首に賭けた100両を狙って用心棒の神条常盤(高城丈二)や博徒たちに市を襲わせるが、市はこれを退ける。だがついに、万五郎は錦木をさらって人質にし、抵抗できない市の両手を潰す。絶体絶命の市がとった行動は・・・。

☆監督を勝新太郎自身が務めたシリーズ第24作。太地喜和子がその魅力を存分に発揮し、女郎役を妖艶に好演。小池朝雄の悪役ぶりもさすがである。全編"座頭市"を知り尽くした者にしか作れないアイディアが盛り込まれた大作。



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by yomodalite | 2010-12-08 12:46 | 映画・マンガ・TV | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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