結婚失格/枡野浩一

久しぶりに、枡野氏の本を読む。本書は一応、“小説”なのだけど、『あるきかたがただしくない』など、これまでも様々なメディアで語ってきた、自らの夫婦の別居、妻(マンガ家の南Q太)の連れ子+実子のふたりの子供との別れ〜離婚を、登場人物の肩書きや、名前などは代えつつも、ほぼ実話として織込んだ“小説”の中で「書評」を試みるという、めずらしいもの。


結婚失格 (講談社文庫)

枡野 浩一/講談社

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元々、連載書評だったにも関わらず、当時の枡野氏としては、これを語らずにはいられなかったのでしょう。会えなくなった子供たちと、妻の態度、突然離婚を突きつけられた“男”の、リアルな感情には、ヒリヒリしてしまう部分が多く見られる。

更に興味深いのは、巻末の「解説にかえて」とある“真夜中のロデオボーイ”という名の、枡野浩一+穂村弘+長嶋有による“あとがき”のようなもの。(これは、普通の「あとがき」でなくて、この部分も含めて“作品”だといえる)

枡野、穂村は、短歌界の2大スターで、小説家の長嶋氏は、それぞれの友人。“真夜中のロデオボーイ”は、その3人が、初めて一堂に会した日のことなどを、各人が綴った文章なのですが、

以前から、枡野氏のストレートな愛憎を浴びてきた、穂村氏は、枡野氏の人となりを実にわかりやすく説明している。それは、ひと言で言うと、根本的なところで「普通の人」の感覚をわかっていない。という点だと、穂村氏は語っているのだけど、『現実入門』『世界音痴』など、現実感のないふわふわキャラで人気を得てきた穂村弘は、もし、枡野浩一さえ居なかったら、こんなことを、うっかり、言うはずではなかったのでは?

また、わたしが読んだのは単行本ですが、文庫には、町山智浩氏の解説がついていて全文は読んでいないのですが「結婚破綻の理由」を理路整然と解き明かした内容のため、納得する読者も多いそうです。

で、その町山解説による文庫本刊行後に行われた出版イベントのようなものが、こちら。

◎歌舞伎町のBE-WAVEでのイベント

かなり面白い内容ですけど、1時間20分!!!ぐらいあるので、お暇なときに♡
5:10ぐらいから町田氏登場。25分ぐらいから、町田氏が例の解説について語る。26分ぐらいから、外でこどもをつくった切通理作の壮絶な結婚生活の顛末、33分ぐらいから、漫画家、山田ナイトの助言の紹介などを経て、最終的に町田氏が、自らの離婚危機をどう修復したかという熱い自慢話(笑)に到ります。。

一貫して、サブカル界のB級から、Z級までをフィールドにしてきた、町山氏が、少々焦り気味に、結論を出そうとしたり、律儀な恋愛論を語ってしまっている点など(もちろん、彼もポジショントークをしている自覚はあるにしても)、

枡野氏も、ギリギリの体重まで、身を細る想いをしたことには間違いないのですが、ここまで多くの業界人を、巻き込んで“天秤”の役をやっているのは、やっぱり、枡野浩一なんですよね。

わたしの中では、天秤座の枡野氏がジョン、双子座の穂村氏がポールといった感じで、甲乙つけがたい、おふたりなんですけど、どちらが、より興味深いかという、究極の選択を迫られたら、今は、ギリギリ、枡野氏かなぁ。。(おふたりの著作を読むたびに入れ替わってますが。。)

そういえば、“真夜中のロデオボーイ”に登場する、長嶋有氏の、ユニークな書評集『電化製品列伝』は、紹介されている作品にも興味が湧きましたけど、本書で、書評されている本のことは、全然印象に残りませんでした(笑)。町山氏に、自分のことしか考えていないと評されるのも、やっぱり仕方ないのかも。。

☆参考書評
◎琥珀色の戯言
_____________

[出版社 / 著者からの内容紹介]愛の暴力に、誠意はかくも無力なものなのか
四人での幸せな暮らしが、このまま続くと思っていたのに。週末以外は仕事場で暮らしてほしいと言い出した妻。いつのまにか、自宅玄関の鍵は取り替えられていた。講談社 (2006/10/31) 講談社文庫(2010/7/15)

[BOOK」データベース]その昔、あなたのことが大好きで、そして今では嫌いになった。あまりにも率直に、リアルタイムで綴られた初の自伝的連載小説「結婚失格」…待望の単行本化。驚愕の同時進行形小説。短歌連作「愛について」、歌人・穂村弘と作家・長嶋有のエッセイも特別収録。


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by yomodalite | 2010-08-22 01:05 | 評論・インタヴュー | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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