憚りながら/後藤忠政(得度名:忠叡)

憚りながら (宝島社文庫)

後藤 忠政/宝島社

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日本女子として、今、やくざの本は、猪木の本より読まなくてはと思っているのですけどなかなかイイ本がありません。どうして読まなくてはならないかは、

松岡正剛「千夜千冊」で語られているように

・日本の「侠」の歴史と動向と思想
・「侠」や「組」の発想は、アジアに通じる本質のひとつ。
・ヤクザが明治政府にも戦後の保守政治にも深く絡んでいたこと

と、現在9冊ある“やくざ”タグの中で、唯一の良本、猪野健治氏の『山口組概論ー最強組織はなぜ成立したのか』で、語られた、山口組の1人勝ちが、現在の官吏との最終局面において、これまでとは違った意味を帯びてきていることに対しての危惧からです。

本書は、山口組内で、マスコミ的にもっとも有名だった、後藤組元組長による、回想録。聞き書きの形式で、「○○の野郎も....ヤるだけヤって....グズグズした話を...バチっとかまされ、最後にはギャンと言わされて、クシュってなってたんだよ(笑)。。」みたいな感じの文章で、1942年生まれの、後藤氏の極道人生が語られています。

◎第一次頂上作戦(1964年の暴力団壊滅作戦。1940年頃まで国家も警察も必要悪として認めていた“やくざ”に対して、博打を非合法化などから国家の締め上げが激しくなった。山口組は、次々と解散に追い込まれる組織に反比例して、拡大していく。)

◎年末に行われた3つの格闘技イベント。(2003年)

◎「日韓青年交流」で、自民党の静岡県連と一緒に、当時の韓国大統領、朴正煕と会う(祖父とも知りあい)

◎富士宮における、創価学会との攻防

◎「山一抗争」(戦後最大の抗争事件。1981年。後藤組は、この抗争のきっかけとなった四代目、竹中組長の杯により、山口組直系組長になっている。)

◎廣済堂(櫻井義晃)、地産グループ(竹井博友)との出会い。経済ヤクザと呼ばれるようになる。

◎野村秋介との出会いにより、石川重弘カメラマン救出に関わる。糸山栄太郎襲撃事件も野村氏との関係が大きい。

憚りながら、として、実名で激しく批判されているのは、
・池田大作
・糸山栄太郎
・武井保雄(元「武富士」会長)
・御手洗富士男(経団連・キャノン会長)
・小泉純一郎、など。

第十章「渡米肝移植」では、日本のやくざが、アメリカに入国して移植手術を受けられた奇跡に関して、日米両国で汗をかいてくれた人たちがいると書かれている。戦後の占領統治に“やくざ”と“在日”と“元A級戦犯”は、重要な役割を果たしていた。後藤氏は、山口組の急成長時代をきっかけに、その歴史の一端を担い、統治側の“やくざ”切り捨てに、肝臓移植という「取り引き」が行われたのでは。という印象をもちました。

小泉氏のブッシュへの媚の売り方、御手洗氏の売国を、情けないと感じ、自分と同じ「チンピラ」だと言うのは、同族嫌悪の感情からでしょうか。

ナルシズム溢れる憂国的主観にも、元やくざの奔放な物語にも、チューニングを合わせることなく、冷静に読んでいたつもりでしたが、第6章「生涯の友・野村秋介」で、野村氏が27、8歳の頃、河野一郎宅への放火により、千葉刑務所に収監されたときの“句”が、目に飛び込んできたときは、思わず涙が溢れました。

「俺に是非を説くな 激しき雪が好き」

_________

[内容紹介]かつて伊丹十三監督・襲撃事件などで日本社会を震撼させた武闘派団体・後藤組の後藤忠政組長。08年10月に山口組を電撃引退し、翌年には天台宗系の浄発願寺で得度(得度名=忠叡)。日本中をあっといわせたのは記憶に新しい。それから1年……財界・政界にも大きな影響力を発揮し、山口組の直参として、日本の深層を生き抜いた後藤忠政とは、いかなる人物なのか?
本書は、半年にわたる延べ50時間のインタビューを構成したもので、これまでその人物像が明かされることのなかった伝説の組長の生い立ち、静岡県富士宮を舞台にした愚連隊時代、山口組直参昇格、竹中正久4代目の思い出、山一抗争、伊丹十三襲撃事件、孤高の民族派・野村秋介との交友、企業社会への進出、政界との交流、武富士との攻防、山口組引退の真相、そして自身の人生哲学から女性哲学までが、たっぷりと語られる。
激動の半生を送ってきた人物が語り下ろす、今年、注目度ナンバーワンのノンフィクション!!宝島社 (2010/5/15)



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Commented by pyt at 2010-07-03 21:39 x
yomodaliteさんの守備範囲の広さは知ってたけどさ、“やくざ”タグって何よっ(笑)右側のタグ欄にないじゃん(笑)きのうまで気が付かなかったよ。。。

政財界は勿論、芸能界や角界、特定宗教団体だって、このような人達を頼ったりしていたんだよね。
政治家・財界人は政治倫理・企業論理などではなくて私利私欲のために、そして芸能界・マスコミは“特定”団体が“特定”スポンサーや“特定”キー局の意向で“特定”出演者を使い続けるとか、大衆意見は無視での“特定”情報たれ流しとかね。(特定だらけ・笑)この“特定”にもこの世界が関係しているよね?

あと、この本の収益は、書誌レビュー等を見ると、全額を寄付するという意向らしいけれど、それが、なんちゃら特定団体とかではなくて、「高齢者福祉および児童福祉」のためにという、使途を限定しているところにこの人の心意気が感じられます。

また、この人と野村秋介氏との付き合いでは思うところがあるのだけど、以下自粛。。。。。(謎)
激しき雪でも雪は雪。雪は常に純白なんだよね。。。。氏こそラストサムライだったりして。。。
Commented by yomodalite at 2010-07-04 01:23
>この“特定”にもこの世界(やくざ?)が関係しているよね?

関係してる?う〜ン(笑)やくざは、今までは“特定”に使われる側だったけど、今は警察とか官吏が、そういうシノギも全部奪おうとしてるでしょ。

後藤氏は「しょせん、俺はチンピラだった」って、同じくチンピラである小○とか、御○洗とか、批判してるけど、もう、そんなの、なんの驚きもないじゃん。アメリカで移植手術を受けられた理由を語らないで、野村秋介氏の名前を出すなって感じ。しゃべっただけの本で、今どきの書籍の売上げ額程度のはした金を寄付する“心意気”は得度の宣伝じゃない?(笑)エラい人のファンになったからって、自分はエラくなれないよね。
Commented by pyt at 2010-07-04 07:57 x
>山口組の1人勝ちが、現在の官吏との最終局面において、これまでとは違った意味を帯びてきていることに対して危惧・・・

じゃあさ、この部分のところ、本来なら長くなりそうなところだけれど、かいつまんで教えてくれる?
Commented by yomodalite at 2010-07-04 08:25
読書紹介ブログなので「かいつまんで教えてくれる?」は、今後、絶対禁止なんだけど(笑)、1人勝ちさせといて、ラスボスとの最終決戦に入ったって意味です。
Commented by pyt at 2010-07-04 10:02 x
了解('ー'ゞラジャ!
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by yomodalite | 2010-07-02 14:26 | 報道・ノンフィクション | Trackback | Comments(5)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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