西寺郷太氏の『マイケル・ジャクソン』(3)

西寺郷太氏の『マイケル・ジャクソン』(2)の続き


◎第五章 「THIS IS IT」への道(続き)

『「THIS IS IT」への道』(P221)
2005年、完全な「無罪判決」を受ける。
《西寺氏の意見》
「失意の時代」のような捉え方をされることが多い。しかし、僕はこの時期はマイケルにとってとても大切な時期であったと思っている。(引用終了)に激しく同意。

2001年、オックスフォード大学での講演のテーマ。
“チャイルドスター”という特異な存在の一般化
“許すこと”

「仕事の成功」から「家庭の幸せ」へ。
そして「人生の成功」へと向かっていく。


『時代がマイケルに「追いついた」』(P224)
「マイケルをかっこ悪いという」ことが「かっこ良い」時代が終わった理由。

マイケルに憧れた新世代アーティストと、MJの違い。
レディ・ガガの「80年代リヴァイヴァル」に見られる表層的な模倣。
でも、それをするしかないほど、疲弊した世界。


『映像機器の進化とともに訪れた「三度の波」』(P229)
《西寺氏による分類》
1)69年のデヴュー期の「カラーテレビとテレビ・ショー」
2)83年の“スリラー”期の「ヴィデオデッキとMTV」
3)2009年の急逝で、彼の一挙手一投足に注目と追悼が集まった映画「THIS IS IT」期の「YouTubeと映画」

MJは「言葉を超越した存在」であるダンサーであることと、遺した「映像群」の素晴らしさによって、ビートルズ以上の力を持って後世に影響を与えてゆく=新しい世代のファンが増え続ける(引用終了)

完全に同意。映像として遺すこと。アーティストとしての永遠の命を、彼はずっと若い頃から真剣に考えてきた。アルバムに収録されない曲の膨大なストックも、モータウン時代から学んでいた、死後リリース計画だったのかも。また、新世代のMJ発見が、簡単には終わらない理由として、MJ自身が世界でもかなり早い時期に現れた、多方面な「オタク」であることも、マニアの心をつかんで離さないと思う。



『マイケル・ベアデンの証言』(P235)
“THIS IS IT”には、最後まで、確実なセットリストはなかった。
MJは最後まで、子供時代の曲を歌い続けた。


『バシリ・ジョンソンの証言』(P238)
ミック・ジャガーとの共演曲『ステイト・オブ・ショック』もリハーサルされていた。急死の前日も、ライブメンバーと一緒いる時間は幸せそうだった。


『マイケルにとって、“THIS IS IT”とは?』(P242)
《西寺氏の意見》
マイケルは子供の頃からコンテストやタレント・ショーで、優勝や、トロフィー、賞金を狙うために歌やダンスに取り組む癖がついていた。これは、「芸術家」というよりは、「オリンピックを目指すアスリート」に近い心境である。このことは、マイケルが大人になっても「自分の正当性」を確かめるために、きちんと「結果」、つまりセールスや記録に人一倍こだわったことにも繋がっている。(引用終了)

記録にこだわったのは、アスリートに近い心境とも言えるけど、批評家への不信感と、芸術家として「歴史に残る」ということが、一番大きな理由だったのではないかと私は思います。


『ダンサー達との幸福な瞬間』(P245)
《西寺氏の意見》
マイケルと新世代ダンサーとの幸福な出会い。もしも、マイケルが“THIS IS IT”で復活することを決意しなかったら、彼は亡くなっていないかもしれない。(引用終了)

MJの不可解な死への疑惑に関しては、彼の死により、これまでの疑惑の証明、名誉の回復がなされたことにより、アーティストとして遠い未来にまで繋がる「成功」を呼び寄せたこと。を認識したうえで、なされるべきと考えます。下記のサイトの主張は、全面的に同意しているものではありません。


◎「THIS IS NOT IT」
◎趣旨

『おわりに』(P249)
《西寺氏にライオネル・リッチーが語ったこと》
「.....もし仮にツアーの利益が1000万ドルあると言われても、それと同等、もしくはそれ以上を制作費につぎ込んでしまうのさ。最後にロボットまで出てきちゃうしね(笑)。マイケルはそういう考え方をする人だったんだよ」(引用終了)

主催者が10回のツアーを50回にしてしまったら、今度は、チケット売上げ金で、3Dだの、MJエアーだの、50回を決めたときには、小躍りしたであろう、“強欲”集団も、コンサートが近づくにつれて、MJと同様に、眠れない日々だったんではないでしょうか?


わたしは、最終的に、すべて、マイケルが勝利した。と思っています。


《再びライオネルの言葉》

「郷太、ふざけてるって思わないで聴いて欲しい。僕は最近、マイケルは本当に“天使”だったんじゃないか.....、ってそう思うんだよ。50年間だけ、この世界に存在して、“愛”の意味を一生懸命に伝えて、それで役割を果たして帰っていったんじゃないかなって.....、そんなふうに捉えているんだ.....。僕は長い間、仲が良かったけどね。いや、本当に不思議なんだよ.....」(引用終了)

ライオネルに静かに同意。“天使”って言うと、こういう感じを想像する人も多いと思うけど、
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マイケル(ミカエル)という名前の天使はこんな感じ。

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ジョルダーノの『大天使ミカエルと叛逆天使たち 』
(一応ルネサンス期のものということで)

“エホバの証人”では、ミカエルとイエスは同一人物であるとされているようです。

それと、MJが異常なほど「赤」が好きだったのは、ミカエルの属性が“火”だと言われていたり、彼のミリタリー好きも、ミカエルが、兵士の守護聖人とされていることから....

赤、青、白、黒、金、MJの原色好きも、この時代の絵画からでしょう。

大好きだったミケランジェロも、Michael+Angelで、“Michelangelo”.....

彼がウォホール以降の大量消費時代のミケランジェロだったという点など、MJとミケランジェロは、もっと深く追求したいところ。相当な読書家であるマイケルですが、美術に関する教養は、すさまじくて、一晩中しゃべり続けても、ネタが尽きなかったという話があるほどですし。。

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“THIS IS IT”で、カーリーヘアに戻っているのも、やっぱりミカエルだからでしょうか....

《西寺氏の意見》
彼は歌やダンスを使って、人間の持つ「喜・怒・哀・楽」の感情すべてを、最大限まで表現し続けた。
もちろん、彼は、常に洗練されたものとして存在しただけではない。ときにはいびつなまでに振り切れたその困惑するほどの自由さで、周囲の人間を振り回したこともある。

プリンスやマドンナであれば許されることも、子供の頃からの成長過程を知っている存在であるマイケルには、社会全般が持つ「老婆心」のようなものが働き、それを許さなかった、という状況があると思う。

彼がひとりの「黒人アーティスト」として成し遂げた様々な既存のルールの転換は、その優しい「少年的」で「中性的」なイメージとまったく違った「強さ」「タフさ」があったからこそ起こしえた「ある種の革命」なのである。(引用終了)

彼の驚くべき「タフさ」に関しては、まったく比べられるような人がいないように思います。これほど本格的な“知性”を感じさせてくれた人も、同時代を生きた人の中には、他に心あたりがありません。

西寺氏が言うように、何か時代的な深い意味・理由があるのではないか、と私も思えてなりません。彼の“ミケランジェロ”好きは、生涯を通して一貫しているうえに、相当深いですし....

毎日永遠の命を欲しくなる。
自分が作り上げた物は歴史に残って欲しい。
それが石像、絵、音楽、作文であれ同じことだ。
ミケランジェロが言ったとおりだ。
作者はいずれ居なくなっても、作品は歴史に残る。
自分が死んだり、作品が滅びないように自分が作るものにはしっかりと心を込めている。
それだから、何をするに全力をつくすことにしている。
生きている間に自分のすべてを観客に与えたい。
僕が言っていることわかるでしょ?

―マイケル・ジャクソン


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◎MJトライアルファッションショー




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Commented by 須藤 満喜 at 2010-03-25 13:16 x
はじめまして。つい最近より拝見しております。MJと同世代2歳上でIwant~から聴いていました。ただ無念さと一緒に歳をとりたかったと痛感してます。私は Mjは神ではなかったかと思っています。拝見しまして 言葉に表せ無いほどに本当に感謝しています。新しい若い方々にこれからも真実を伝えて頂きたいと思っております。ありがとうございます。
Commented by yomodalite at 2010-03-25 16:00
身に余るお褒めの言葉です。。Bless You♡
わたしには、神や天使の証明は出来ませんけど、
彼のことを、騙されやすいとか、不注意だったとか、奇矯の人だとか、
思っている人がいると思うと、「アホか!」と思ってしまうんですよ。
これほど思慮深く、表現にも行動にも一貫した信念を貫き、
尚かつ、それをより多くの人に伝えようと、生涯通して命懸けで頑張った人など、
現在の日本の「知識人」には皆無です。

マイケルは、大和心で考えれば「神」で問題ないですよ。
特に、無念の最後となれば、神社に奉って
御霊を鎮めて差し上げなくてはならないんですけど、
相変わらず、涙が止まりません。
Commented by 須藤 満喜 at 2010-03-25 16:21 x
ご返信をありがとうございます。恐れ入ります。
貴殿のような誠意のある方の執筆はきっと数多くの方々に正しい判断と感動とを与えて下さると思います。
まだ今でも MJに関して優しい文章やお言葉に出会うと涙が溢れてきます。貴殿の文章はMJを通して自分の魂の浄化になるような
(本当になれば良いのですが)気がします。
これからもよろしくお願いいたします。
 私もこの何ヶ月か 一生分の涙を流したような気がします。
Commented by yumiko at 2010-03-26 00:19 x
大人なマイケルの写真ステキです。
知性、思慮深さ、顔にあらわれるのですね。
Commented by yomodalite at 2010-03-26 08:46
調子に乗って、さらにカッコいい写真アップしました!
Commented by mimu at 2010-05-07 21:30 x
素敵な写真と文章をありがとうございました。
若い頃のベンのテーマがとても好きだったのですが その後いろいろなマスコミの報道に洗脳され?遠ざかっておりました。そして死んでから やはり彼はとても偉大で おっしゃるとおり 天使 神 に 間違いないと確信致しました。失ってから気づくのは恋や大切な人生のものもそうですね。愚かさに気がつきました。
Commented by yomodalite at 2010-05-07 22:19
mimuさん、はじめまして!コメントありがとうございます。

当ブログのMJ記事は、西寺氏のMJ新書から、加速してまして、
“THIS IS IT”までの、彼の知られざる時期に焦点をあて、
幼児虐待疑惑での裁判時の彼のカッコいい写真が満載の
「MJトライアルファッションショー」〜「マイケルジャクソン裁判」

彼の不可解な顔の変遷を辿りつつ、
最後のオリジナルアルバム「インヴィンシブル」解題にもなっている
「マイケルジャクソンの顔について」は自信作なので、
どうぞ、そちらも、読んでみてくださいませ。
Commented by mimu at 2010-05-09 20:47 x
ありがとうございます。読んでみます。
違う話になりますが 着物 のお話も素敵でした。感性豊かですね。先日 友人と 初期ディズニーの眠り姫の絵の美しさの話で意気投合しました。美意識 というのは 音楽もアートも洋服も繋がっていますね 調和という美しさかな。。感性は時に傷つきやすく苦しみますが最後にはより多くのものを人生から学べると 自分を励まして。
Commented by yomodalite at 2010-05-09 22:10
初期ディズニー!「眠り姫」!

わたし、ディズニーランドには、あまり行ったことがないのですけど、ウォルト・ディズニーには興味津々なんです。でも、まだ全然フォロー出来てなくて(ブログ内では『創造の狂気』のみ)「眠り姫」の美しさの話も、まだ理解できていないんですが、何やら、その話には、すごく心惹かれます。

着物の話への感想もありがとうございます。最近あまりにもMJ記事が大変で、書けていないんですが励みになります。

感性は時に傷つきやすく.....深く共感。そのせいでしょうか、わたしは、なんだか年を取ってから、毎日楽しいことが、たくさん増えたような気がします。
Commented by mimu at 2010-05-12 01:50 x
ありがとうございます。

私は小さい頃から本が好きで親におもちゃは買ってもらった記憶はないのですが 本は沢山貰いました。その中で正確な名前は「眠りの森の美女」でしたが お姫様が眠っているところ の その肌の色 閉じた瞼 日本では見ないパステルカラーのドレスのデコルテ すべてが美しく 子供心にうっとり 毎日見つめていました。今のアニメぽっいディズニーとは違い 芸術作品でした。その話を先日最近知り合った知性的な方にお話したら「私もよ!」と盛り上がり 同じものをいいと 共感したその感性に嬉しくなりました。そんな時 日ごろ孤独でも繋がっているな~と思います。

着物といえば お茶ですね。日本の和菓子もなんて美しいのでしょう!

マイケルの話に戻りまして あの方のバラードって 心に染みますね やはり すごい!!表現力が違いますね。
Commented by yomodalite at 2010-05-12 09:21
mimuさん、ありがとうございます♡
わたしも、幼い頃から本には恵まれた生活を送ってきているんですが、マイケルも、相当な本好きで、子供への本の読み聞かせの重要性を語ったり(「Michael Jackson International Book Club」)、最も素晴らしいアーティストは「ストーリーテラー」であるという発言とか、もし彼が日本語がわかったなら、日本の美術だけでなく、落語についても話がしてみたかった!と思わせるところがあるんですが、

美術書からマンガまでのみならず、映画に関しても、まだ家庭用VDが普及する前から、自宅映画を楽しめる環境に育っているMJですから、あの表現力の源には、相当量の“教養”が蓄積されていると、わたしは思ってます。

「眠りの森の美女」、ますます、見たくなってまいりました!そうなんですよね。印刷技術は飛躍的に進歩しているはずなんですが、なぜか、昔のこども用の絵本や雑誌のほうが今見ても美しいものが多いですよね。

画家だけでなく、キンダーブックとか、ひかりのくに等、昔の子供雑誌を見ていると、浮世絵の時代から培われている、日本の印刷職人技の伝統が生きているというか、とにかく、もう感動の描写力ですよね!
Commented at 2010-05-12 21:47 x
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by yomodalite | 2010-03-25 11:29 | マイケルジャクソン書籍 | Trackback | Comments(12)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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