2009年 08月 23日
東京のどこに住むのが幸せか/山崎隆 |
東京に暮らし始めてから20年余、今の地に落ち着くまでは、平均して2年ごとに引っ越しを繰り返し、住み着いた街は、周辺も含めて自転車でくまなく探索、どこに住むのが快適かという問題は、ずっと関心のあるテーマでした。
第1章/衰退する街と繁栄し続ける街の分岐点
第2章/歴史を知らないと東京の街はわからない
第3章/本当に資産価値が高い物件の見抜き方
第4章/東京7ブロック55エリア別「この街に住んで幸せか」
◎Aブロック:山手線南部の都心系住宅地
渋谷、恵比寿、目黒・五反田、広尾・麻布、原宿・表参道、赤坂・六本木、青山・乃木坂、三田、白金、高輪、市ヶ谷
◎Bブロック:山手線北部から隅田川流域
上野・池之端、浅草、押上、錦糸町・両国、池袋、護国寺・音羽、大塚・巣鴨、目白、駒込・田端、白山、北千住、王子、町屋
◎Cブロック:隅田川以南の臨海部
人形町・日本橋、月島・佃、門前仲町・深川、田町、大井町、大森、蒲田
◎Dブロック:東急線沿線
中目黒・代官山、三軒茶屋、武蔵小山、自由が丘、都立大学、二子玉川、久が原
◎Eブロック:小田急線・京王線沿線
代々木・新宿、代々木上原、笹塚、浜田山、千歳船橋、千歳烏山、調布、府中、町田
◎Fブロック 中央線・西武新宿線沿線
中野、荻窪、上石神井、三鷹・吉祥寺、立川、八王子
◎Gブロック:西武池袋線・東武東上線沿線
練馬、成増
本書は、住むだけではなく、どこに建てるのか?どこを買うのか?という不動産的価値を中心に書かれているのですが、新築物件の不動産的価値をこの本の情報から、見極めるのは難しいと思います。東京の場合、高級住宅地といっても、丘の上に隔離されているわけではなく、徒歩数分でホテル街と隣接している高級住宅地など、紙一重の部分が結構あります。
第4章のエリア分類で考えると、わたしの場合、Gブロックを除いてすべて住んだことがあります。(もう少し具体的にいうと、A、Eブロックの分譲マンションの売買と、Cブロックで分譲マンションの購入経験があり、現在はまた別のCブロックに住んでいます)
例えば、Aブロックの渋谷エリアの章タイトルは「都内屈指の高級住宅街が点在」。
いくつかの高級住宅地が点在できるほど「渋谷」は広いのですが、点在していることで、渋谷全体の価格が底上げされている可能性や、「谷」という地名、高速道路工事などにも気をつけないと、幸せには程遠く、「渋谷」をエリアという単位で把握すると、大きな失敗を招く恐れがあります。
また著者は、第2章で「明るい下町」が今狙い目として、下町を隅田川系と多摩川系に分けています。下町といえば、日本橋・京橋・芝・神田・下谷・浅草・深川・本所。。。の私にとって、多摩川系を下町とする著者が「歴史を知らない。。。」云々は( ̄~ ̄)ξと言う感じですが、前者をすでに街が固定化しすぎていて、今後変化が期待し難いが、後者は「明るい下町」として注目すべきで、戸越銀座や武蔵小山を代表に挙げているのは少し疑問ですね。もちろん現在でも戸越銀座や武蔵小山が住みやすい地域として人気があるのは納得なんですが、現在、隅田川エリアの下町には、その歴史的価値から、住人以外の人の流動が始まっていて、その流れは年々勢いが増しています。
むしろ、昭和期に起源をもつ多摩川系の下町は、東急などの鉄道会社の「野望」が安定した今、今後の変化はあまり期待できませんが、隅田川系の下町には「明るい未来」の可能性があり、そういったことは下町に限らず、昭和起源の「山の手」の価値の下落には、今後要注意だと思います。
また、中古マンション価格、賃料による「価格相場」ですが、賃料は別として、中古マンション価格は正に「部屋」というピンポイントになるので、実際の売買になるとエリア相場は信用できる値ではありません。むしろ高値安定エリアこそ、新築で購入した物件を売買の際は、損する可能性が高いともいえます。とにかく、土地が不動産である時代は終わったという認識で、新築のモデルルームに騙されないで、しばらく借りて住んでみて居心地の良い場所に永住するのが幸せの近道でしょう。
自分以外の意見を聞いてみるという意味で読む価値はありますが「住むことによる幸せ」は、不動産屋さんに聞いてもわかりません。
_____________
【内容紹介】損しない街、住みやすい街はどこなのか。都内55エリアを徹底検証!広尾、自由が丘、豊洲、武蔵小山……人気のあの街は、いま本当に「買い」か?気鋭の不動産コンサルタントが、街の成り立ちと資産性という視点から明らかにした、東京の「住んでいい街、ダメな街」完全公開! 講談社 (2007/11/10)
by yomodalite
| 2009-08-23 23:52
| 住宅・建築・インテリア
|
Comments(0)