電化製品列伝/長嶋有

電化製品列伝

長嶋 有/講談社




本書の内容を、著者は「はじめに」で、「さまざまな文学作品の、その中の電化製品について描かれている場面だけを抜き出して熱く語った、珍妙な書評集」と説明されています。(高野文子氏のマンガや、ビートたけし主演の映画評もありますが)

ちょっと思いつかない切り口に、最初「?」と思ってしまうのですが、家電のない日常は考えられない時代において、さまざまな作家の家電への感じ方、描写などを通じて、作家の個性を紹介し、作品への興味を抱かせる、なかなか読ませる書評本です。

取り上げられた作品は全部で17作品。

・川上弘美「センセイの鞄」の電池
・伊藤たかみ「ミカ!」のホットプレート
・吉田修一「日曜日たち」のリモコン
・柴崎友香「フルタイムライフ」のシュレッダー
・福永信「アクロバット前夜」のマグライト
・尾辻克彦「肌ざわり」のブラウン管テレビ
・映画「哀しい気分でジョーク」のレーザーディスク
・吉本ばなな「キッチン」のジューサー
・生田紗代「雲をつくる」の加湿器
・アーヴィン・ウェルシュ「トレインスポッティング」の電気毛布
・小川洋子「博士の愛した数式」のアイロン
・干刈あがた「ゆっくり東京女子マラソン」のグローランプ
・高野文子「奥村さんのお茄子」の「オクムラ電機店」前編
・高野文子「奥村さんのお茄子」の「オクムラ電機店」後編
・栗田有起「しろとりどり」のズボンプレッサー
・映画「グレゴリーズガール』の電動歯ブラシ
・花輪和一「刑務所の中」の電気カミソリ
・長嶋有「猛スピードで母は」の炊飯ジャー


私の場合、読んでいない作品が半数以上ありましたが、未読の作家への興味を掻立てられ、既読の作品でも、まったく気付かなかった視点に感心させられました。

「あとがき」で著者は、作中に電化製品を多用する作家は「僕」であり、意識して多くの家電品を率先して書込んできた、と述べ、

「サイドカーに犬」の蚊取りマット
「タンノイのエジンバラ」のボタン電池(LR44)
「夜のあぐら」のラジオ付き懐中電灯
「バルセロナの印象」のファクシミリ
「ジャージの二人」のトースター
「パラレル」のヘッドマウント型ディスプレイ
「センスなし」のヘッドフォンステレオ
「瑞枝さんの原付」「単三電池」の電気アンカ
「ぼくは落ち着きがない」の業務用コピー機


そして、先頃まで新聞連載していた「ねたあとに」は電化製品列伝・実作編といっていい長嶋家電文学の総決算と語っています。。。って、新作への壮大な前フリだったんかい!

このあと『ねたあとに』にを読まずにはいられない)
___________

【BOOKデータベース】自らの作品を「長嶋家電文学」と称す著者が、現代文学で描かれる電化製品を熱く語り尽くす!こんな読み方があったのか!と、思わず目からウロコが落ちる書評(+映画評)18篇を収録。テレビにアイロン、加湿器、炊飯ジャーから電気シェーバーまで…「オール電化」な“異色”書評&エッセイ集。 講談社 (2008/11/5)



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by yomodalite | 2009-07-30 12:09 | 評論・インタヴュー | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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