性欲の文化史[1]/井上章一(編)

性欲の文化史 1 (講談社選書メチエ)

永井 良和,澁谷 知美,原 武史,唐権,三橋 順子,川井 ゆう,西村 大志,露木 玲/講談社




女性がパンツ(下着)を履くきっかけとなったのは、1930年代、白木屋百貨店の火災の際、火を避けて下に降りようとしたが、裾が風でまくれると下にいる野次馬にのぞかれてしまう。そのとまどいにより何人もの店員が命を失うことになった。パンツが普及したのは、その教訓からだった。という白木屋伝説を知っている人は多いと思う。わたしも、そう信じていました。

ところが、本書の編者、井上氏によればそれは事実ではないという。実はその伝説はまったくのつくり話で、井上氏は、以前『パンツが見える。』(2002年)で、それを実証しているらしい。では、パンツを最初にはきだしたのは、誰だったのか?

それは、カフェーの女給たちだった。彼女たちはパンツを性的な武器に仕立てていた。つまり最初から、パンツは見せることを前提にしていたのだ。

確かに、この件に限らず、歴史には性的なことを隠しやすい性質がある。

「歴史の影に性あり」という、編者の「まえがき」に惹かれ、本書を読んでみました。

下記の目次から章タイトルの中身を短くまとめると、

第1章は、近代日本の遊郭と、欧米との違い
第2章は、1910〜40年代の男子への禁欲とは何だったか。
第3章は、出口王仁三郎『霊界物語』から恋愛・男女観を探る
第4章は、中国の日本風俗史にみられる特徴
第5章は、女装の男娼の実態
第6章は、孕み女(模型)の見せ物史
第7章は、人形、ロボットの愛と性
第8章は、兄妹性交は古今東西、すべての社会で禁じられているわけではない。

こんな感じでしょうか。最後まで読んでも「性欲」と関係ある?と思ってしまう内容も多く、執筆者は、ほぼ全員が大学関係者で、内容はかなり固め。興味を惹かれた内容とは、かなり異なった読後感ではありましたが、バラエティに富んだ内容なので、続けて『性欲の文化史2』も読んでみます。

性欲の文化史【2】/井上章一(編)に続く

【目次】
まえがき−文化のなかに性を読む(井上章一)
1.遊廓の形成と日本文化−「囲い込み」と取り締り−(永井良和)
2.性教育はなぜ男子学生に禁欲を説いたか−1910〜40年代の花柳病言説−(澁谷知美)
3.出口王仁三郎の恋愛観・男女観−『霊界物語』を中心として−(原 武史)
4.日本女性は不淫不妬?−中華文人の日本風俗観察史−(唐 権)
5.女装男娼のテクニックとセクシュアリティ(三橋順子)
6.「胎内十月」の見世物を追って(川井ゆう)
7.「人体模倣」における生と死と性(西村大志)
8.兄妹性交の回避と禁止(露木玲・青木健一)
あとがき(井上章一)

【BOOKデータベース】
洋装下着を流行らせたのは、ほんとうに勤労女性だったのか?なぜ戦前の男子学生は「したくてもじっと我慢」でいなければならなかったのか?歴史の陰に、性あり。人間の本質を見ずして、ほんとうの歴史は語れないのだ!大本教から球体関節人形まで、「魏志倭人伝」の日本女性論から女装男娼まで、時代も地域も縦横無尽に論じ尽くす、珠玉の論考集。講談社 (2008/10/10)


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by yomodalite | 2009-07-13 21:51 | 評論・インタヴュー | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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