名古屋と金シャチ/井上章一

こんな本を読んでしまうのもわたしが名古屋育ちだから。。。
陽の光が金シャチの光とともに届けられる、名城公園まで徒歩数分というような地域に住んでいて、城にも金シャチにもうんざりだった住人時代ですが、名古屋三大ブス説を覆した井上章一氏なら今までにない名古屋文化論が期待できるかもしれません。


第一章 世界のなかの名古屋のシャチ
「イタリアにも、シャチホコはいる。」 ヴェネチアングラスの工芸品、ローマのバルベリー二広場のトリトンの泉。。。空想のイルカはシャチとそっくりだという発見から、シャチの由来を探る。

第二章 シャチの都を取材して
名古屋取材。市役所のバッジ、交通局のマスコット、サッカーチーム「グランパスエイト」(グランパスとはシャチのこと)、市職員機関誌「シャチ」、遊覧船「金鯱号」、陸上自衛隊第十師団のマーク、名古屋牛乳のシャチ印、「シャチボン」(シャチの形のシュークリーム)、名古屋に溢れるシャチと、そのキャラクターの変遷。

第三章 シャチの背後に歴史を読む
金シャチは、尾張徳川家の威光を人民に見せつけていた。黄金の輝きを日常的に見せつけられていた人民の欲望は1782年に上演されていた芝居『けいせい黄金の鯱』にも表れていた。。。

第四章 金シャチ美人
かつて一世風靡した「名古屋美人」は、なぜ「日本三大ブス」の産地へと変遷したのか、ミス名古屋からその謎を解く。

著者は、執拗に名古屋城の金のシャチホコが持つ名古屋での意味と価値について、歴史を遡り、周縁を探っていく。第4章の「名古屋芸者」の話は、『日本の女が好きである。』でも書かれていた話の更に詳細な記述で、著者の本により初めて聞く話でしたが、全体を通して、名古屋人気質や名古屋文化論ついて語られている部分が少なく、浅薄な名古屋文化論を覆すような視点がないのが、すこし残念。

金シャチに興味がある奇特な方へ
★★★☆

_____________

【MARCデータベース】名古屋は街中、シャチだらけ。シャチを愛好する市民感情は、どのようにしてはぐくまれたのか。その都市論的な背景をさぐり、名古屋という街の文化史をうきぼりにする。ファンシー革命、美人説…鯱都の謎を解き明かす。 NTT出版 (2005/02)





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by yomodalite | 2009-06-30 22:47 | 歴史・文化:美術 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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