対論・異色昭和史 (PHP新書)/鶴見俊輔、上坂冬子

対論・異色昭和史 (PHP新書)

鶴見 俊輔 上坂 冬子/PHP研究所




上坂冬子氏が亡くなったというニュースを数日前に知り、読むべき著作を探していたら、鶴見俊輔氏との対談本が出版されたばかりだという。過日、姉である鶴見和子氏のきもの本に出会い、鶴見俊輔氏のことも思い出していたところだったこともあり、お二人の対談集には惹き付けられました。

異色とありますが、後藤新平の孫で、米内内閣の閣僚を父にもつ鶴見氏は、戦中、戦後の重大事件の内部情報を肌で知っている上に、上坂氏の率直な質問や物言いも加わり、他では聞けない内容が、二人の息のあった対話で進んでいくのが、気持ちいいほど面白い。

87歳の鶴見氏が、今でも天才少年のような若々しい知性を保っているのも驚くのだけど、79歳の上坂氏も少女のような率直さで、先輩の鶴見氏に切り込んでいて、まさか、この対談後まもなく亡くなったとは本当に信じられない。本書で、死後のことを語っている箇所もあるのだけど、まさに遺言どおりに清々しく、そして後に残るものへ、素晴らしい本を残されたことは、立派としか言いようがないです。

「戦時体制には爽やかさがあった」

思想信条が異なると思われていた二人はこのことを共感しあい、戦前真っ暗史観とは異なる昭和史を語り合う。数のうえで言えば「異論」かもしれませんが、戦後アノミーによって病に陥った大半の知識人の中で、健康な知性を持ち続けられたのが、ごく僅かだったというだけ。

上坂氏は“右”鶴見氏は“左”という枠組で語られるお二人ですが、最近のネトウヨ的勘違い保守や、子どもじみたヒステリーサヨクとは一線を画す内容で、めったにない大人どうしのさわやかで濃い内容の対談。

参考サイト↓
極東ブログ[書評]対論・異色昭和史
極東ブログ[書評]対論・異色昭和史 その2
鶴見俊輔の母
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【内容紹介】雑誌『思想の科学』への投稿がきっかけで交流が始まった二人。半世紀ぶりに再会し、語り合った昭和の記憶とは?
鶴見氏は、昭和三年の張作霖爆殺事件の号外を覚えているという。八歳年下の上坂氏が、戦前から戦後の体験談について、根堀り葉掘り質問をぶつける。「米国から帰国したのは愛国心かしら?」と問う上坂氏に、「断じて違う!」と烈火のごとく否定する鶴見氏。
一方で、「戦時体制にも爽やかさがあった」と吐露する上坂氏に対して、「私もそう感じた」と応える鶴見氏。やがて議論は、六〇年安保、べ平連、三島事件、靖国問題へ。六〇年安保のデモ行進に誘われた上坂氏は「後にも先にもデモに参加したのはあれが初めて」と。その後、ノンフィクション作家として自立してゆく。上坂氏の原点に、鶴見氏らとの交流があったというのは興味深い。
現在では護憲派、改憲派という立場を異にする二人だが、いまだからこそ訊ける、話せる逸話が尽きない。圧巻の一六五歳対論! PHP研究所 (2009/4/15)

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by yomodalite | 2009-04-26 22:40 | 歴史・文化:美術 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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