翼ある闇—メルカトル鮎最後の事件 (講談社文庫)/麻耶雄嵩

翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件 (講談社文庫)

麻耶 雄嵩/講談社



今から18年前の「新本格第2世代」と言われた麻耶雄嵩のデビュー作。本格ミステリの巨匠である島田荘司氏の本に出会ったのが遅かったので、新本格の作家である綾辻行人や、法月綸太郎氏が人気作家になった頃には、まだ島田作品を一から読んでいて、島田作品がようやく現在に追いついた頃からは、鮎川哲也や高木彬光を読むようになりました。

そんなわけで「新本格」に関しては、島田氏の論客としての姿しか印象に残っていないし、もうそれでいいかと思っていたのですけど、 新新本格と言われる舞城も読んだことですし、清涼院流水も読もうかと思っている今日このごろ、麻耶雄嵩を飛ばしていいのかと、ふと思い直し、『文学賞メッタ斬り!』でも絶賛されていた『夏と冬の奏鳴曲』を読む前にやっぱりデビュー作を読むべきでしょ、というわけで永年の宿題にようやく手を付けるような気持ちで読んでみました。

結論から言えば第8章ぐらいまで辛くて何度もくじけそうになったのだけど、「メルカトル」の最後までは、と必死に気持ちを奮い立たせ、なんとか最終章〜エピローグの怒濤のどんでん返しを楽しむことができました。

私が読んだのは初版単行本で島田荘司氏による推薦文が巻末に付いていて、まあ今更、島田御大の新本格擁護批判もないんですけど、綾辻行人への批判は、致し方ないけど、麻耶雄嵩をどれほどもち上げてもその種の批判は受けないだろうっつー擁護の仕方は、どうなのかな〜。

文章力や、成熟度はまだまだだけど、発想の素晴らしさや、本格ミステリの著者としての類いまれな才能をかって欲しいってことなら納得なんだけど。

島田氏の、どこからでも日本と日本人への批判をすることができる個性を御大の病気と考えている人は結構多いと思うのだけど、日本人にありがちな「日本に生まれて良かった」という感覚からは、ミステリを書き続ける「知性」への飽くなき欲求は生まれないんでしょう。御手洗が、自分より遥かにお莫迦な相方とよりを戻すことはないのは寂しいけど。

しばらく休養してから、『夏と冬の奏鳴曲』にも挑む予定。

「ミステリーの憂鬱」
http://clinamen.ff.tku.ac.jp/Mystery/Maya/Maya_1.html
______________

【出版社/著者からの内容紹介】首なし死体、密室、蘇る死者、見立て殺人……。京都近郊に建つヨーロッパ中世の古城と見粉うばかりの館・蒼鴉城を「私」が訪れた時、惨劇はすでに始まっていた。2人の名探偵の火花散る対決の行方は。そして迎える壮絶な結末。島田荘司、綾辻行人、法月綸太郎、三氏の圧倒的賛辞を受けた著者のデビュー作。

【BOOKデータベース】魅力的な謎、破天荒なトリック、緻密な論理、奇矯な人物、衒学趣味、毒に満ちたユーモア、意外な解決…。およそ思い付く限りの本格ミステリのエッセンスが、この小説には濃密に詰め込まれている。講談社 (1996/07)



[PR]
トラックバックURL : http://nikkidoku.exblog.jp/tb/10544675
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
名前
URL
削除用パスワード

※このブログはコメント承認制を適用しています。ブログの持ち主が承認するまでコメントは表示されません。

by yomodalite | 2009-03-12 23:31 | 文学 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


by yomodalite