花宵道中/宮木あや子

花宵道中 (新潮文庫)

宮木 あや子/新潮社



R‐18文学賞は、応募者も女性限定、選考委員の作家や下読みにあたる編集者も女性のみという、性について描かれた小説全般を対象にする新潮社が主催する公募新人文学賞。気になる歴代審査員は光野桃、山本文緒、角田光代、唯川恵という賞の趣旨との相性が期待できる人選。本著は、山本文緒、角田光代両氏が審査員時代の2006年、第五回の大賞と読者賞の両方で受賞した作品です。

著者の宮木あや子氏は歴代受賞者のなかでも、特に評判が高いようなので、興味津々で読んでみたところ、まったく予想以上の作品で驚きました。

まずは、性交や性技に関する記述が満載なので、電車の中では読まない方がよろしいかと思われますが、それは隣の方に覗き見られたら恥ずかしいという文面だからではなくて、あくまで諸姉諸嬢のみなさまのお召物を心配してのご注意です。では、そのような描写以外に価値がないかと申せば、それがなくとも「極上品」であるところが、なんとも驚きなわけです。

「花宵道中」「薄羽蜉蝣」「青花牡丹」「十六夜時雨」「雪紐観音」という5つの短編集ですが、いずれも山田屋という小見世の遊女たちの物語で、5編を通して読み進むことによって、遊郭の人間模様がより立体的に、切なさも極まっていきます。

著者は1976年生まれの33歳なのですが、改行によるページ稼ぎなどが一切なく、本の厚み以上の濃い内容なので、時代小説好きの壮年男性も充分楽しめると思います。

同じく吉原を描いた直木賞受賞の松井今朝子氏の『吉原手引草』と読み比べたくなりました。

また、こちらは、電子書籍のサイト「デジコミ新潮」
http://www.ebookjapan.jp/shop/title.asp?titleid=12778

で、立ち読みやデータ購入も出来て、単行本よりお安いようですが、
単行本装幀の方が遥かに素敵ですし、再読に叶う作品なので、単行本購入の方が絶対オススメ。

★★★★★(満点。稀少なタイプの娯楽作品なので)
____________

【出版社 / 著者からの内容紹介】江戸末期の新吉原で、叶わぬ恋に咲いては散りゆく遊女たち。恋する男の目前で客に抱かれる朝霧、初見世に恐怖と嫌悪を抱く茜、自分を捨てた父に客と女郎として対峙した霧里、一生恋はしないと誓いながらもその衝動に抗いきれなかった八津……芳醇な色香を放ち、甘美な切なさに心が濡れる官能純愛絵巻。

【BOOKデータベース】吉原の遊女・朝霧は、特別に美しくはないけれど、持ち前の愛嬌と身体の“ある特徴”のおかげでそこそこの人気者。決して幸せではないがさしたる不幸もなく、あと数年で年季を終えて吉原を出て行くはずだった。その男に出会うまでは…生まれて初めて男を愛した朝霧の悲恋を描く受賞作ほか、遊女たちの叶わぬ恋を綴った官能純愛絵巻。第5回R‐18文学賞大賞&読者賞ダブル受賞の大型新人が放つ、驚愕のデビュー作。 新潮社 (2007/2/21)




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by yomodalite | 2009-03-06 11:55 | 文学 | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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