東京の流儀ー贅沢な街歩き/福田和也

東京の流儀

福田和也/光文社



ダーリンが読んでいたのを、ちょいと奪い取って速読しました。

福田和也氏のことは、このブログでは、柳美里氏との対話本の「響くものと流れるもの−小説と批評の対話」だけで、他に読んだ記憶があるのも『作家の値打ち』のみですが、上記2冊で、とりあえず、政治的感性が際立つ小デブのワイン通から、作家の価値を判定できる文学評論家へと印象が変わりました。

大森、豊崎両氏は『文学賞メッタ斬り』の中で、確か、福田氏のことを「政治的な人」と、決して褒め言葉ではなく称していたと思うのですが、日本の文学批評に関わる人がダメな点は「政治」がわからないことだとも言えると思います。(映画評論家もそうですね)

また福田氏は、本著で尊敬する先輩として山崎行太郎、絓 秀実をあげていますが、彼らがダメなのは政治を文学で(しかも辺境の国の)語ろうとした点だとも思う。

どうして、自分がそんなダメ出しをできるのかは不思議ですがww

また、本著の内容に共感する人は、東京に長く住んでいる人でもそんなにはいないように思います。(東京に住んでいない人には、完全に無駄な本にちがいない)

山の手と下町の区分に関してなど、各人様々な見解があるのだけど、成城や田園調布を山の手を思っている人は読まないほうがいいし、その他の戦後鉄道会社に開拓された土地に家を構えた人も読まない方がいいでしょう。

他にも、クリスマスの夜に赤坂プリを使ったことがある人、プリンスホテルで結婚式を挙げることにためらいがなかった人も、本著は読まない方がいいと思う。

でも、上記以外で、どうしても東京にこだわらずにはいられない、失われつつある「東京」に思いをよせている人には磁石のように惹き寄せられる本だと思う。

渋谷、青山がどうしようもない田舎である、とか、銀座好き、一番頻繁に行く蕎麦やが銀座の「よし田」とか、新宿が苦手だとか、「WAVE」「中国飯店」「青山ブックセンター」の六本木とか、あんまり食べないとんかつの店以外は、共感する点が多かったのだけど「よし田」に関しての文章を下記に記録しておきます。

『よし田に来て、蕎麦がどうの、かえしがどうのと云う人がいて、昔は、そういう人を的確に示す言葉があったのですがね。野暮という言葉が。
でも、現在では、一本しか物差しをもっていなくて、それで何でも測れると考えている人が沢山いる。と云うか、ほとんどがそうですね。
野暮とすらも云いようのない、薄くて半端な人たちが、山梨だの、栃木だのの山の中で、熊と猪相手に蕎麦を作っている、武者修行みたいな人が作った蕎麦と、銀座の酒呑み連中が、足場にしている店をくらべて、いいの悪いの云うのですから、嫌になってしまう。まぁ、武者修行なんていうのは、粋なものではないですな。』


私は酒飲みじゃないので「よし田」では、コロッケそばや、にしんそばをいただきます。コロッケは、あのジャガイモに衣つけて揚げたやつとはまったく別物なので、心配しないでください(誰が?)

追記:2013年まで、銀座から遠くない場所に住んでいたので「よし田」にはよく行きましたが、福田氏のような人があまりに甘やかしたせいなのか、「よし田」のレベルは、その後も坂を転げ落ちるように低くなっていき、蕎麦に関しては立ち食い蕎麦の5倍ぐらいマズい・・・と言いたくなるかも。それと、庶民的な店構えに釣られて、夜、飲みに入ると、想定外の金額になることがよくあるので注意が必要です。

____________

【BOOKデータベース】 「鰻屋でビールはよしなさい」「私の東京とんかつ地図」「銀座の柔らかな自負」「取り換えのきかない店」…。街場のそば屋から高級中華・グランメゾンまで、ある日は自分だけの「ぴん」の店に通いつつ、ある日はデジカメを持って撮影行に出向く。大人の見識あふれる極上街歩き。 光文社 (2008/11/21)



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by yomodalite | 2009-02-25 15:00 | 評論・インタヴュー | Trackback | Comments(0)

旧「読書日記と着物あれこれ」。歴史/文学/お笑いを好み、着物生活をしていたはずが、いつしかマイケルジャクソンのように本を読もうになってしまったブログ。永年暮らした東京を離れ、現在は大阪を満喫中。


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